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上白石萌音さんの「and…」を聴いて考える「声の生かし方」

上白石萌音さんの1stオリジナルアルバム「and…」

 前作「chouchou」では,その「天使の歌声」とも言える透明感のある歌声で衝撃を与えた上白石萌音さん。

 その声質の透明感を最大限に生かすために,前作で選択された曲はアカペラを初めとして,どれもスローでアコースティックなものばかりでした。

 息づかいまでも聞こえるような歌声に大いに感動したものです。

 さて,真価が問われる初のオリジナルアルバム「and…」。その内容は?
 あくまでも私見ですが,評価していきたいと思います。

 

方向性が見えない…

 前作は,たぐいまれな「声の透明感」を前面に出そうとした構成になっており,それが功を奏しました。

 まあ,単に「声質がいい」等の魅力をもった歌手はいくらでもいるわけで,アコースティックに振り切った制作側の「作戦勝ち」という面が強いわけです。

 また,「君の名は。」での注目度が高かったこと,RADWIMPSの「なんでもないや」のカバーがとんでもなく上白石さんにフィットしていたことなど,数々の好条件が重なっていました。

 

 しかし,新作「and…」を聴くと…

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 確かに歌は上手ですし,声の透明感も見事です。しかし,なぜか前作ほど感情移入できないのです。何か歌わされている感じがするんですよね。

 

 理由を考えてみました。

①「and…」では,ミディアムテンポの曲が増えたこと

②バックの演奏が「やかましく」なったこと

③「歌詞」が本人にフィットしていない曲があること(表面的すぎて浸みてこない) 

 

 個人的にですが,彼女の声は「しっとり」聴きたいのです。もちろんそれだけでは幅が広がらないということなのでしょうが,それにしても「ドラマ性」を感じることができない曲が多いような気がします。ここが「歌わされている感じ」ということに繋がるのでしょう。

 上記の①②についていえば,
「そこら辺にいくらでもある曲」
に聴こえてしまいますし,
「彼女にぴったり!」
という前作で感じた「フィット感」「ぴったり感」がないんですよ。

 ③も含めて,
「歌が上手な人であれば誰が歌っても同じじゃない?」
と感じてしまうのです…

 

 上白石萌音というシンガーをどのように生かそうかという明確な「方向性」が感じられないというのが一番かもしれません。
 しかも,おそらく制作側はその点を「分かったつもり」になっているのではないかということが気がかりです。

 このように感じたのは私だけでしょうかね?

 

唯一無二を目指して欲しい

 ちょっと辛口になってしまいますが,それだけ彼女に期待しているということです。

 女優さんで歌手としての確固たる地位を占めたということで頭に浮かぶのは今井美樹さん」です。逆に,歌唱力はありながら今ひとつ独自の世界観を生み出せないままだったと思うのは松たか子」さん
 この差,皆さんには伝わるでしょうか?

 今井美樹さんの歌の特徴は,「PRIDE」に代表されるように背筋がしゅんとしていてストレートに感情を歌い上げるところでしょう。それが今井さんの正統派の歌い方や透き通った歌声にフィットしたのです。

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 松さんは,今井さん同様正統派であるものの,その声質や独特の甘さが残る表現が魅力でした。私は,その「甘さ」をもっと生かした曲選択をしていけばもっともっと歌手として評価されたのではないかと考えています。

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 上白石萌音さんには,今井美樹さんのように「独自の絶対的な世界観」をもつことのできるシンガーになってほしいと願っています。また,そうならないときっと「歌のうまい女優さん」で終わってしまうような気がしてなりません。

 彼女だけの「世界観」って何でしょうね。私は,とことんスローでアコースティックな曲にこだわってもいいのではないかと感じます。今回作詞も担当した彼女ですが,もっと等身大の詩の内容でもいいのでは…それを浸みるような彼女の歌声で聴くことができたら,聴くものはきっと心が奪われることでしょう。

 

 いずれにせよ,次作が彼女にとっての正念場だと感じます。ぜひ「生き残って」欲しいなあ…

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