「空想科学ミステリ」の前日譚
東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」の前日譚,「魔女の胎動」が3/23に発売になります。
まあ,「東野作品」ということですでに予約を入れたのですが,今回は大いに不安です。「ラプラスの魔女」があの出来でしたので…
そもそも,東野さんの「脳科学」「パラレルワールド」系の作品は非常に苦手でして,やはり「登場人物の心情を深く織り込んだ本格推理もの」を渇望しているのですが,最近の東野さんはなかなかそちらの方向を向いてくれません。
この点の不満に関しては,以前に記事にしたとおりです。
個人的に「ラプラスの魔女」に関しては,「脳科学」「予知」と「犯罪」との絡みに絶対的な無理が生じ,作品として完成しているのかどうか疑わしいほどだと考えています。
東野さんはこの作品を「空想科学ミステリ」と位置付けているようですが,だれも東野さんの「空想」は求めていないのでは…
あくまでも地に足を付けた上でのストーリー展開が欲しいところです。
その意味で今回の「魔力の胎動」,落としどころをどこにもってくるかで評価が分かれそう。あくまでも「空想」が強調されるようであれば,いよいよ東野さんの「限界説」まで飛び出してきそうな予感さえします。
この作品以後,今年度中に,本格的な「人情ミステリもの」の大作を望みたいところです!
映画化はされるけど…
何気に今年は東野作品の映画化ラッシュのようです。
すでに公開されている「祈りの幕が下りる時」に始まり,5/4公開予定の「ラプラスの魔女」,11月公開予定の「人魚の眠る家」,来年は「マスカレードホテル」までもが映画化されるとか。
今回の「魔力の胎動」も,「ラプラスの魔女」映画化の撒き餌かな?
「円華」役が「広瀬すずさん」というのも,いかにもという大人の事情を感じます。
作品的には「マスカレードホテル」に期待したいところですが,この映画,新田役が「木村拓哉さん」,山岸役が「長澤まさみさん」とのことです。
う〜ん,双方とも若干イメージが違うと思うのは私だけでしょうか?
あまり「映画化」にとらわれすぎず,良作を書くことに集中してくださいね,東野さん。