ようやく年齢が追いついた? 22歳の原寸大がはっきり見える
待ちに待った藤原さくらさんの新譜「green」がリリースされました。
いや〜,最高です。
聴いていて幸せになれる,浸れるというアルバムは最近めっきり少なくなってきましたが,この「green」,藤原さんの世界観,才能にどっぷりと浸れる作品となっています。
名作だと思います!
私自身,これまでの藤原さんの作品に関しても,高く評価してきました。
年齢の割に大人っぽい歌詞や曲調に,その才能を感じていましたが,逆に言えば,「背伸びしている感」があったのかもしれません。
しかし本作「green」は,22歳というの藤原さんのまさに「原寸大」とも言える作品となっています。
これまでの同様のJazzyでアンニュイなけだるさを残しつつ,22歳という若々しさ,瑞々しさが大いに感じられるのです。
まあ,これまでの作品からあまり若々しさが感じられなかったということ自体,藤原さんのただ者ではない感じが伝わってきてもいたのですが。
具体的にいうと,
・アンニュイな感じを大いに残しつつも,曲調がアレンジがやや明るくなった。
・後段で述べる曲のテーマ設定が藤原さんの現在位置を示している。
ということです。
「曲調」に関しては,これまでの藤原さんのアルバムを聴いている方ならば,なんとなく私の言いたいことが伝わるのではないかと思います。
しかも,アコースティック感を残しながらも,非常に洗練させた仕上がりとなっているのです。
私は,「新生 藤原さくら」を感じました。大きく脱皮したような印象を受けます。
正に「才能があふれ出している」といえる名作になりました!
曲のモチーフを知ると2倍楽しめる
私は,今回の「green」を聴いてから,以下の2つの記事を見て,非常に得をした気分になりました。
藤原さんがどのような思いで曲を作ったのか…ということが見えてくることで,彼女の現在の立ち位置が見えてきたような思いがしたからです。
まず興味深かったのは,
「いつもはアルバムを想定せずに曲作りを行い,後から必要な曲を付け加えていく」
という手法をとっていたが,今回は
「アルバムのコンセプトを固めてから曲作りを行った」
と明言しているところです。
そして私が感じた今回のコンセプトは,「今の藤原さくら」ということ。だからこそ,一聴して「原寸大のアルバム」と感じたわけです。
その私の感覚を,アルバムを聴いた後にこれらの記事で確かめることができて,とてもうれしい気分になりました。
一曲ごとの解説もかなり詳しくしてくれています。
Sunny Day
なんとも不思議な歌詞なのですが,これ,亡くなったおじいさんのことをモチーフにしたということ。
藤原さくら 「Sunny Day」 (short ver.)
おじいさんがなくなった日がとても晴れていて,それが「死」という現実とのギャップを生んだのだそうです。「あのときもっとこうしていれば…」いうことも感じながら,「人生なんて,そんなことの繰り返しだ」と感じたり…。
そんな,「生乾き」のような感覚を,「今はそれでいいじゃないか」という思いを込めて作ったのだとか。
その裏事情を理解してから聴くと,また最初とは違った感覚になります。身内との別れが否応なくやってくる年代になった藤原さんの「今」。
Time Files
こちらは,友達のことを歌ったそうです。
22歳といえば,社会に出て自分の生活が急変する時期。
久しぶりに友達に出会ったときに,昔とはまるで違う自分や友達だったりする…。
そんな現実がさみしかったり…。
でも,昔の出来事があるからこそ,今の自分や友達がいる。
これまでとは違う感覚で自分を見つめようとする時期。それが藤原さんの「今」。
bye bye
こちらは一聴すると「哀しい別れ」を示唆しているようにも感じましたが,実は結婚する姉に対する「bye bye」ということです。
家族としてのさみしさを感じながらも,祝福して「bye bye」といわなくてはならないもどかしさ…。
家族の関係性が変わっていく藤原さんの「今」。
様々な別れを経験し,さみしさも感じながら,先に対する希望もある。そんな何かが芽吹いていくような感覚を「green」というタイトルに込めたのだそうです
正に藤原さんの「今」が詰まっているからこそ,非常にフレッシュな作品になっているわけですね!
ミニアルバムということを感じさせない満足感に浸ることのできる今回の作品。まだ藤原さんのことをよく知らない方にこそ聴いていただきたい!
本当にお薦めです!