本当に下がるのだろうか?
菅官房長官が,「携帯の料金は高すぎる」と述べたことは未だに記憶に新しい話です。しかも「4割」という具体的かつ大幅な数字まで出しての強い論調でした。
私自身も下げるべきだとは思います。
まあ,常に新通信方式などへの投資を行ったり,回線の保持・増強に努めたりということで,大変な額が必要となっているだろうことは想像に難くはありませんが,私が「下げるべき」と考える大きな要因は,「TVコマーシャルの回数と増収増益」という現実です。
つまり,あれだけTVコマーシャルに金をつぎ込んでも,大幅な「増収増益」が続いているということは,まだまだ企業の体力に相当な余力があるということです。
各社のコマーシャルは,その企業戦略を抽象的な文言で表現し,人気めあての俳優やキャラクターを登場させるような印象操作を行うような形で終始しています。
コマーシャルを観ても内容が分からないような宣伝は意味がありません。企業の人気取りだけのコマーシャルに金をつぎ込むこと自体,無駄だと感じるのです。結局その金を出しているのは我々ユーザーですので。
結局我々ユーザーは,興味がある人はネットで精査し,興味が無い人はショップで確認するという手法をとることで,初めて「果たしてスマホにいくらかかるのか」という現実を知ることができます。
だったら,余分な金をコマーシャルにつぎ込むのではなく,その分の料金を引き下げて欲しいと常々考えていました。
さて,この「携帯料金問題」,ひょっとしたら1年後に大きな進展を見せるかもしれません。
どうやらその鍵は「楽天」が握っているようです。
楽天の料金は現在の「スーパーホーダイ」並み?
来年の10月に「第4のキャリア」としての開通を目指している楽天。
こと料金に関しては,おそらく現在の「楽天モバイル」が展開する「スーパーホーダイ」に準ずる形になると言われています。
つまり,現在格安SIMに属する楽天モバイルの料金で,キャリアを利用できるということ。
その料金形態がこちらです。
このままではそれほど旨みが無いと思われますので,恐らく他のキャリア同様,様々な割引特典を併設させてくるでしょう。
どの容量をイメージしているかは分かりませんが,「楽天は4000円台の料金設定を想定している」という情報もありますので,恐らく通話プラン等も含め,込み込みで4000円台+機種代金というイメージでしょうか。
どうでしょう?
他のキャリア利比べて2000円くらい安いのかな?
もし,官房長官がイメージしているのがここら辺だとすれば,他の3キャリアの料金も「楽天よりも若干上」というところまでもっていきたいという思いがあるのかもしれません。
あるいは他のキャリアが一気に楽天並みに下げて,「楽天を潰そうとする」ような戦略に出ると,ネーザーにとってはうれしい限りですが…。
そもそもの楽天の立ち位置は大丈夫?
と,書いてきましたが,これらの皮算用は,楽天の事業がしっかりと機能するという前提に立ったものです。
もし楽天のサービスが軌道に乗らなかったら,他のキャリアもおいそれとは価格を下げてこないのではないでしょうか?
何が心配なのかというと,楽天の金銭面的基礎体力と対応バンドです。
まず金銭面。
楽天が当初投資する金額が立ったの6000億円ということ。
これは,各キャリアが自分たちの通信の保持・管理にかける金額と同等ということですので,果たしてその金額で全国に通信網を構築することができるのか,大いに疑問です。
三木谷社長は,既存の施設等を活用しながら…と話していましたが,どうなることやら。
次に対応バンド。
致命的なのは,楽天がプラチナバンドを持っていないということです。
各キャリアの保有バンドを見ると…。
これに,新規で獲得されたバンドがこちら。
つまり,楽天が保持しているのは1.7GHz帯であり,他の3キャリアが持っている「1GHz以下」のプラチナバンドではないのです。
SoftBankがプラチナバンドである「900MHz」を獲得するまで,その「繋がりにくさ」で問題を抱えていたことを覚えいていらっしゃる方も多いでしょう。
初期のiPhoneを利用していた際,私にも経験があります。そのため,auがiPhoneの取り扱いを始めたときに乗り換えた経験が蘇ります。
ということは,楽天が首尾よく予定どおりに開業しても,他の3キャリアのように利用できるということは無理でしょう。
繋がりやすさにしても,速度面にしても,ユーザーは問題を抱え込むことになるのは避けられないものと考えます。
もし楽天のサービスが軌道に乗らなかった…。
料金の低価格化という当面の課題の足かせにならないとも限りません。
さて,この携帯料金問題。
今後も紆余曲折が予想されますが,一体どのような道を辿り,どこに着地するのでしょうか?
少しでも安く…という我々の思いは届くのでしょうか?