待たされすぎました…
いや,正直,待たされすぎて一周まわってしまった感じです。
ついに「神様のカルテ」シリーズの最新刊が,2019年1月31日に発刊となります。
夏川草介さんの「神様のカルテ」シリーズは,長野県松本市にある本庄病院に勤務する内科医「栗原一止」を主人公とした「ヒューマン医療もの」といえる作品。
第1作目は,2010年の本屋大賞第2位に輝いたことで,一躍注目を浴びました。
その後,「2」「3」,そして妻の「ハル」との出会いを描いた「0」と,これまでシリーズ4作が発表され,映画化もされたことは,皆さんもご存知の通りです。
最新刊の「0」が発売になったのが「2015年3月」ということですので,ほぼ4年間「お預け」を食らっていたことになりますね。
まあ,作者の夏川さんは現役の医師としてご活躍ということですので,仕事と執筆活動の両立は,生半可なことではないのでしょう。
「一止」の新たな舞台での活躍,葛藤を描く?
これまでの「神様のカルテ」シリーズでは,
「緩和ケアとの葛藤を描いた,初作」
「医師としての立場と家族との関係を描いた,第2作」
「医師としての後悔,愛する人への思いを描いた,第3作」
と,それぞれにストーリーを貫く明確な柱を設定しながら,一止と彼を取り囲む素晴らしくも,それぞれに思いを抱える同僚やアパートの同居人などとの人間くさいやり取りをが描かれてきました。
正に「真正面から医療と向き合った」小説となっています。
そんな中,一止と妻の「榛名」との出会いを描いた「0」はちょっと異質な内容とはなっていますが,学生時代の一止と友人との関係性,また,榛名の人間性を読み取る上では非常に重要な巻となっています。
これから読もうと考えている方は,「0」から読み始めると,すんなりとストーリーが入ってくるかもしれません。
さて,そんなこれまでの「歴史」がある本作ですが,今回の新作は,正に「新章」となりそうです。
前掲の小学館のページを見ると,
「一止は,より良い医師となるため信濃大学医学部に入局する。消化器内科医として勤務する傍ら、大学院生としての研究も進めなければならない日々も、早二年が過ぎた。矛盾だらけの大学病院という組織にもそれなりに順応しているつもりであったが、29歳の膵癌患者の治療方法をめぐり、局内の実権を掌握している准教授と激しく衝突してしまう。」
とあります。
これまでの地域支援病院から大学病院へと,舞台が大きく変わっているのです。
恐らく,融通の利かない一止のことですから,至る所で「衝突」するのでしょう。
そして悩み,おそらくは自分なりの「答え」を見つけ出すはずです。
妻のハルや,これまで関係を繋いできた人たちからの力を借りながら。
また,新しい大学病院内にも,きっと一止をサポートしてくれる人物が登場するのではないかと予想します。
夏川さんだったら,そうしてくるはず…という,なんとなくではありながらも,結構自信をもっていえる自分なりの根拠を,これまでの作品から感じているのです。
皆さんはどう思われますか?
夏川さんからのメッセージが!
さて,先ほどの小学館のページを見ると,なんと,夏川さんからのメッセージが寄せられています。
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「新章 神様のカルテ」に寄せて
「神様のカルテ」を書き始めて、いつのまにか十年が過ぎた。私の歩んできた道を追いかけるように、栗原一止の物語も五冊目を数え、本作をもって舞台は大学病院へと移る。栗原は、私にいくらか似たところはあるが、私よりはるかに真面目で、忍耐強く、少しだけ優秀で、間違いなく勇敢である。そんな彼が、大学という巨大な組織の中で描きだす、ささやかな「希望」を、多くの人に届けたいと思う。
夏川草介 深夜2時半の医局にて
深夜2時に医局でしたためる原稿…。
なんとも,お医者様は大変です。
そんな夏川さんだからこそ,現場の「生の叫び」みたいなものを文中に込めることができるのでしょう。
「新章 神様のカルテ」。
期待しかありません。
自分が追いかけている作家さんとしては,2019年初の新作となるこの作品。待ちきれません!
◇追記◇