2000ドルの折りたたみiPhone
2019年は,「折りたたみスマホ元年」になることは間違いないでしょう。
Samsung,HUAWEIなどの超大手の他,小・中規模のメーカーまで開発に名乗りを上げている状態。Android界では,今年いっぱいは様々なタイプの折りたたみスマホが世に登場してくることでしょう。
しかしiPhoneといえば…。
Appleが折りたたみ式スマホに関する多様な特許を申請しているということについては,これまでに取り上げてきましたが,現実的な動きとして表面化していることは全くの皆無です。
2019年には登場する気配すらありませんので,早くても2020年?
しかし,この歳にはiPhoneX系の大幅なリニューアルが噂されており,売上に即繋がるわけではない折りたたみ式スマホについて,Appleがどれほど熱心に取り組んでいるかと言われれば,疑問符がつくのが実際のところでしょう。
しかし,折りたたみ式スマホが一般に認知され,その価格も下がってくる前に「Apple流の解答」を見つけ出さないと,この分野ではAndroid勢の後塵を拝するばかりになってしまうことも考えられます。
そんな中,「iPhone X Fold」と命名された折りたたみ式iPhoneのコンセプト動画がYouTubeで公開されています。
価格は2,000ドル!を想定しているようです。
残念ながら「横開き」です
まずはその画像をご覧ください。
映像の中の「iPhone X Fold」は,実に秀麗で,折りたたみ機の課題であるヒンジ部も破綻なく美しくつくられているように感じます。
また,広くなった大画面を上手に活用する画面構成であるように受け止めました。
あとは,箱のパッケージング。二つ折りであることをアピールするかのような「三角柱」の箱。輸送面などで,実際は難しいのかもしれませんが,もし実現したらこれだけで相当のインパクトがありそうです。
しかし…。
そう,「縦開き」を要求している私からすると残念な「横開き」なんですよね。
たたむと「6.6」インチ,開くと「8.3」の大画面が目に飛び込んできます。
「横開き」で,しかも「両面ディスプレイ」のこのタイプは,たたんでいるときにもディスプレイの保護に気を遣い,広げると両手遣いが必至。
私は「たたむ」という行為に,「コンパクトになる収納性」と「ディスプレイを外側に出さない保護性」という2つの必然性をもたせたいのです。
今回の「iPhone X Fold」では,収納時大きく,ディスプレイが剥き出しのままで,しかも開くと大きくタブレット並みの扱いが要求される…。
ジョブズが生きていたら,この筐体を許したでしょうか?
ただでさえ「手に収まる」という条件からiPhoneを創作した人です。
私はジョブズだったら,「大きさや見栄え」よりも「実用場面での使い勝手」を優先されるものと確信しています。
それにしても時流に乗り遅れてる?
確かに今回の映像は美しい。
「縦開き」「横開き」の問題を置いておけば,他のメーカーの機種以上の完成度を持っているようです。
しかし…,あくまでも「コンセプト」。
「進捗度合い」からいえば,いち早く「製品」を世に問うているSamsungやHUAWEI等の足下にも及ばない実情です。
仮に今回と同じ製品が2020年に発売されたとして,当然他のAndroidメーカーは更に歩を進めているはずですので,Appleは太刀打ちできないのでは?
また,価格が「2,000ドル」の想定になっていますが,さすがに他のメーカーは今後,今年発売した機種の代金よりも大幅に下げた値付けをしてくるはずです。
何か,様々な部分での「立ち遅れ」が見えてくるようで,ちょっと不安になりますね。
Appleはこの分野で生き残れるのか?
また,この分野は「携帯電話業界の中心」となり得るのか?
もしこの「折りたたみ式スマホ」が今後の中心となるのであれば,「業界再編」の歩みが進んでいくことになるかもしれません。