JDIの顛末が予想どおり過ぎて…
日本液晶界の起死回生を狙って誕生したJDI(ジャパンディスプレイ)。
しかし,韓国勢から液晶パネルのシェア奪えなかったどころか,有機ELパネルへの転換にも失敗。さらに,液晶パネルを受注していたiPhonXRの販売不振という不運も重なり,虫の息状態であるということは,これまでも話題にしてきました。
そして,「中国資本」からの支援を受けることになったという記事を紹介したのですが,その中で,
「中国資本の飲み込まれてしまうのではないか?」
という疑問を呈しました。
…なんとも早い答え合わせが来たようです。
やっぱりそうなりますよね。やはり「再建」は無理だったようです。
美味しいところだけを中国に持って行かれる…
今回の融資の柱は,
「JDIは、台湾のタッチパネル製造大手TPK Holdings,中国の投資会社Harvest Groupなどから成るSuwaコンソーシアムから800億円の金融支援を受ける」
というもの。
また,それに伴って,
「筆頭株主はINCJ(旧産業革新機構)から、持ち株比率49.8%を握るSuwaコンソーシアムへと移る」
ということも大切な部分ですね。
INCJも支援を継続するということですが,経営上は今後大きな発言権をもつことはできないでしょう。
更に気になるのが,こちらの記事。
「中台連合は,380億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)も引き受け,合計で800億円を拠出する。台中連合の出資比率は最大で65.4%に上がる可能性がある。」
と書かれています。
出資比率が今後2/3を超えるような事態になれば,完全にJDIは「もって行かれる」ことになりますね。正に「シャープの二の舞」です。
中国で有機ELパネルを製造すると…
そして恐らく,JDIは近い将来実質的に消滅することになるのではないでしょうか?
それは,中台連合が,近い将来JDIを母体として有機ELパネルの製造に乗り出そうとしている動きがあるということです。
現在JDIでは,有機ELパネルの効率的生産に向けて尽力しており,Apple Watch用のパネル生産に狙いを定めているらしいということは以前記事にしました。
その有機ELパネル生産技術を基に生産拠点を中国本土に移し,今後中国が有機ELパネル生産でのシェアを伸ばしていく…というシナリオは,十分に考えられることです。
さらに,現在の「米中経済戦争」が今後も続くようであれば,Appleが中華JDI(その頃にはJDIという名前も残っていないかもしれませんが…)からパネルを購入するとは考えづらいものがあります。
頑張って日本の資本で作り上げたものを,手際の悪さから美味しいところだけを中台に持って行かれ,最後には手元に何も残らない…。
最悪のシナリオですよね…。
日本の損失が大きいばかりではなく,中国の技術発展を助けてしまう形になってしまっています。
パネル産業に関しては,今後日本が浮かび上がる可能性はないのかもしれません。