正に平成はジブリの時代!
先日,ジブリの「風立ちぬ」が,「サヨナラ平成」ということで日テレ系で放映されました。
思えば,初めて劇場に2回足を運んだのが,「風の谷のナウシカ」でした。自分が中学生の頃だったと記憶しています
そう考えれば,昭和の終盤から平成の中盤頃にかけて,世を席巻していたのが「宮崎駿」であり,「ジブリ」だったといえましょう。
そんな中,ジブリ作品のTV視聴率に関して,非常に興味深い記事を見つけました。
ジブリの勢い,世の中の「視聴」に関する変化が具体的な数字で判断できる,素晴らしい記事だと思います。
なんと「千と千尋…」は視聴率「46.9%」!
この記事中で紹介されている以下のグラフは,永久保存版ですね。
なんと,「千と千尋の神隠し」の初回視聴率は,「46.9%」もあったんですね。正に驚異的な数字。ジブリが世の中を席巻していたことがよく分かります。
様々なことが読み解ける資料なのですが,個人的に注目したのは以下の2点です。
①ジブリ作品はのよさは,じわじわと広がってきた
今現在,「ジブリ作品の代表作を挙げよ」といわれれば,個人的には「千と千尋…」「ナウシカ」「ラピュタ」「カリオストロ」あたりで悩むところですが,一般的にはこれらに加えて「トトロ」「魔女の宅急便」あたりが加わって熾烈なランキング競争になるのではないでしょうか?
ここで興味深いのは,このうち,「カリオストロ」「トトロ」「ナウシカ」「ラピュタ」「魔女の宅急便」は,興行収入的にはそれほど高くない…というか,その内容からしたら「相当低い」ものに止まっているということです。
今となっては考えられないほどの低さにドン引きするくらい。
つまり,ジブリ作品とは,卓越した内容のものを制作しながらも,そのよさが広がるまでに相当の時間を要しているということです。
おそらくは,劇場公開を見逃した層が,ビデオやテレビ視聴でその素晴らしさを認識し,じわじわと評価が広がっていったのでしょう。一過性ではないこの「広がり」が,ジブリの人気を逆に不動のものにしたのかもしれませんね。
そして,「公開→興行的な成功」となったのは,どうやら「もののけ姫」あたりからのようです。
最新作の人気とも相まって,旧作が毎年のようにテレビ放映され,そのたびに高視聴率を上げるという,とんでもない効果を生んでいったのですね。
②内容の伴う作品が高視聴率をキープしている
もうひとつ興味深いのが,TV視聴率が作品の「内容」とリンクしていることです。
個人的に,作品の質的に一級品と考えているのが,「カリオストロ」「トトロ」「ナウシカ」「ラピュタ」「宅急便」「もののけ姫」「千と千尋」です。
特にジブリのダントツの代表作は「千と千尋の神隠し」だと確信しています。質的にも,映像的にも。
そして,それ以降,急速に作品が理屈っぽくなり,魅力が失せてしまいます。
興行収入的には,「ハウル」も「ポニョ」も成功といえる部類なのですが,内容的には?だと考えています。
これをTV視聴率に当てはめると,その数字が見事にリンクするんですよね。
「カリオストロ」「トトロ」「ラピュタ」「宅急便」などは,20回近くも放映されているのに,視聴率的には非常に高いまま推移しています。
逆に,「ポニョ」や「ハウル」などは,2回目以降の落ち込みが大きくなっています。
音楽もそうですが,人間,年をとってくると作品が説教じみて,理屈っぽくなるのです。
宮崎さんの「千と千尋…」以降の「老化」が,作品の質の低下に如実に表れているのだと考えます。
映像の「配信」が平成息の根を止めた
昭和後期,平成とも,当然レンタルビデオ・DVD等で,見たいときにいつでも映像を観ることができました。
しかし,ジブリのTV視聴率は高いまま推移します。
これって,尋常ではありませんよね。恐らく,「家族揃って気軽に楽しめる」テレビ視聴が,ジブリの顧客層にマッチしていたのでしょう。
それでも…。
ジブリ作品が過去のものになりつつあり,動画配信等で今まで以上に様々な動画を,様々なデバイスで楽しめるようになってきた平成晩年においては,潮流が一気に変わってきました。
そもそも,テレビを観なくなりました。
50オヤジの私でさえ,殆どテレビを観ないわけですので,恐らく若い世代はもっと顕著に行動そのものが変容しているものと考えます。
「平成はジブリの終焉とともに終わる…」
そんな言葉も,あながち間違っていないようにさえ感じるのです。