総務省の「後追い告知」に追い込まれるキャリアと国民
総務省の「携帯端末代と通信料金との完全分離化」方針を受け,docomo,auとも,今年の5月に料金体系の大幅な見直しを行いました。
私などは,7月からの移行を考え,すでに「新フラットプラン7プラス」に申し込み済です。
しかし,以前の記事にも書きましたが,auの今回の戦略を考えるに,「お一人様」には非常に厳しい料金体系になっています。
家族を同一キャリアで囲い込み,「数を稼ぐこと」を前提に,割り引こうという考え方です。
これ,見方によっては「2年縛り」「違約金」以上にえげつない戦略なわけで…。
なにか「人質」を提供する代わりに値引いてもらっているような,大きな違和感を感じざるを得ません。
逆にキャリア側から見ると,
「どこかで契約者を担保できる戦略をとらないと,経営の見通しが立たない…」
ということであり,恐らく相当追い込まれているのだと考えます。
まあ,ユーザー側からすると,
「あれだけTVCM打っているんだから,もっと経営のスリム化ができるだろ?」
と言いたい部分も当然あります。
しかし,それとは別の意味合いでも,各キャリアがお上の意向に振り回されて,「策がなくなってきている」ことも想像できる訳です。
「お上と庶民との意識乖離」についてはこれまでも話題にしてきましたが,菅官房長官の無責任ぶりにあきれる発言がありましたので,再度書かせていただきます。
分かっていないのです…,偉い方々は!
(声を大にして)iPhoneは安くなりません!
これまで,キャリアに対して「もっと安く…」という圧を加えることには賛成してきました。
いくら設備の保守・新設に向けた費用が必要だとしても,現行の各キャリアは「儲けすぎ」です。
もっとユーザーに還元しなくてはいけません。
この観点では,「通信料をもっと下げろ」という総務省の言及は正しいと思います。
しかし…。
今回の菅官房長官の発言の中で,
「こいつ,ちっとも分かってないな。これ以上やり過ぎると,結局苦しむのは国民だぞ!」
と怒りが湧いてくるものがありました。
それがこちら。
「通信サービスと端末のセット販売での割引を禁じる分離プラン化によって競争原理が働き,端末そのものもいずれ,間違いなく安くなっていく」
皆さんは本当にこのように考えますか?
普及価格帯のデバイスであれば,市場の傾向に引っ張られることもあるでしょうが,日本で異常ともいえるシェアを誇る「iPhone」においては,このような考え方は成り立ちません。
Appleが日本のくだらない内部事情に鑑みた値付けを行うことは絶対にありません。
つまり,iPhoneはずっと高価なままで推移しますので,これまで各キャリアが知恵を絞って作り出してきた様々な意味での「割引」が完全に消滅したら,日本でのiPhone利用比率は大幅に低下することになるのではないでしょうか?
簡単に言えば,iPhoneを買えなくなる日本人が増える可能性があるということです。高すぎて…。
現実に…。
あれだけ不人気で,価格が高すぎることを叩かれた2018iPhoneですが,次期2019iPhoneに関しても同等の値付けで来るようです。
本ブログでも,
「もっと売るためには価格を100ドル下げるべき」
と何度も書いてきましたが,正直,
「きっと据え置きのままで来るだろうな…」
という思いがありました。
あくまでもAppleはAppleなのです。
利益を削ってまで安く売ることはしない企業なのです。
どんなに批判されようと…。
9月までに再度の「新料金プラン」が出るのか?
さて,今困っているのは大手キャリアでしょう。
特にdocomo,auは5月に出した新プランの扱いをどのようにすべきかと,頭を悩ませているはず。
おそらく,
「このプランでお上は許してくれるだろう」
という皮算用があっての提案だったのでしょう。
このままでは,下手をしたら9月前に再度新たな料金体系を提案し直す必要が出てくるかもしれませんね。
だって,auで考えれば,「48回払いで24回分を免除する」という考え方ありきの料金体系ですので…。
問題は,
「値引き上限2万円」
「2年後以降は値引き完全消滅」
という条件にどのように対応するか…です。
総務省側も,その新プラン発表のあとに更なる締め付けを行ったのは「卑怯だ」と考えます。
どうせだったら,お上の意向を事前に知らせ,その上で各キャリアからの報告を審査するべきだったのでは…。
キャリアも戸惑っているでしょうが,結局つけが回ってくるのは国民です。
前掲のような「端末も安くなる…」という勘違いの基に成り立っている政策。
何度でもいいます。
役人や政治家は,国民生活を改悪するために存在するのですか?
しっかり実情を把握してください!
「圧」のかけどころが全く違うことに気付けないなんて…。 情けない!