あの「蜜蜂と遠雷」が映画化 主演は「松岡茉優」さん!
本屋大賞と直木賞をW受賞した,恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。
その圧倒的な恩田さんの筆力とピアノコンクールを舞台にしたピアニストの骨太な群像劇については,以前レビューを上げています。
まあ,重厚であるが故に,せっかくの若者の群像劇に期待したい瑞々しさには欠けるかな?…ということで,痛し痒しという面も持ち合わせていると考えました。
しかし,その圧倒的な世界観が,一般の読者にも,そしてプロの作家陣にも評価当然ともいされるのも当然というべき名作であることには変わりがありません。
そんな名作が「映画化」されることは聞きかじっていましたが,この度予告動画が公開されました。
なんと,主人公であるかつての天才少女「栄伝亜夜」を,あの松岡茉優さんが演じるということ。
はいっ,分かっていらっしゃいます!
そう,栄伝亜夜を演じるなら彼女しかいないでしょ!
恩田さんをして「映画化は無謀」と言わしめた…
主人公の「栄伝亜夜」は,かつては将来を有望視された伝説の天才少女ピアニストでしたが,母親の死をきっかけにピアノが弾けなくなります。
そこからどのように立ち直るのか…
彼女と関わるライバル達との関係は?
という部分が見所になるわけですが,非常に繊細なピアニストの世界観,挫折と再起,壁に立ち向かう熱意,ライバルへの思い等々,常人では演じきれないであろう「栄伝亜夜」の全てを表現するのは,やはりとてつもない,そして妖しげな演技力をもつ松岡さんしか考えられないでしょう。
今回の配役を見て,これ以上無く「納得してしまった」自分がいました。
「勝手にふるえてろ」の演技は圧巻でしたからねえ〜!
さてこの「蜜蜂と遠雷」,著者の恩田さんは,「映画化は無謀」と表していたようですね。
其れは恐らく,登場人物の心情描写の難しさに加え,「ピアノ」の存在が大きかったのではないかと考えます。
何せ,神がかった演奏を披露する青年達のストーリーです。
映像化に当たり,大きな壁があったはず…。
しかし,その「壁」を,小手先でごまかすのではなく,正攻法の吹き替えで乗り越えることで,恩田さんをうならせたようです。
どういうことかというと,ピアノ演奏シーンでは,主要な4人の「専属吹き替えピアニスト」を配置。
しかもその4人が,なかなかに本格的な4人のようなのです。
どうですか?
どなたも海外の今クールで優秀な成績を収めている超実力派。
しかも,物語に合わせて「若手」の抜擢も行っています!
映像では顔は映らないでしょうが,恐らく,指の質感,動き等から,演者の「年齢」というものが伝わってくるのでしょう。
特に本作のキーマンとなる「風間 塵」に関しては,その瑞々しさを表現するためにも,若手のホープを登用することが絶対条件だったと思われます。
「そこまで念を入れるか…」
と思えるほどの準備万端ぶりに驚きです。
恐らく恩田さんも,映像から伝わってくる質感,緊張感,空気感のようなものを感じた上で「やってくれました!」と表現したのでしょう。
「茉優ワールド」をじっくりと楽しみたい!
さあ,最大の難関をクリアしたとなると,後はただただ「茉優ワールド」を堪能することを考えたくなります。
松岡さんは,
「たった一人で作品全体の空気感を変えることのできる女優さん」
だと考えています。
悩み,笑い,泣き,苦しむ「栄伝亜夜」を,松岡さんがどのように演じるのか…?
いや〜,実に楽しみな作品です!