「体重差」無視の異種格闘技戦の行方は?
「iBasso Audio DX220」購入の経緯と,「DX220+有線イヤホン VS iPhone+MOMENTUM True Wireless」という,正に「体重差無視の異種格闘技戦」に突入する経緯については,過去記事をご参照ください。
今回はいよいよ,両システムの聴き比べ編です。
ちなみに,「MOMENTUM True Wireless」に関しましては,本ブログで散々記事にしておりますので,そちらをご覧いただければと思います。
今回は,DX220の音質を中心に書かせていただき,最終決断まで行きたいと思います。
「DX220」は,銅線バランスリケーブルがしっくりくる!
まずは,Westone UMPRO30に接続するケーブル選びです。
PRO30付属のケーブルは問題外。
スケールが小さく,音場も狭い。音の艶,張り出しとも全く物足りません。
やはりDX220は,バランスケーブルありきで考えた方がよさそうです。
次に,銀線素材の2.5㎜バランスリケーブル。
ヤフオクで購入したものですが,結構贅沢な造りになっています。
その代わりに線が大変固くて使い勝手はかなり悪いですが…。
銀線の特徴丸出しで,超高解像度,高音のびのびで,もっさりした感じを受けるAK120Ⅱでは重宝しました。
DX220Ⅱ接続すると,ぱっと視野が開けたように特に「横方向」に音場が広がります。
もちろん解像度はバリ高。
しかし…。
広がった音場が「横一列」で,奥行きが物足りないのと,ボーカル帯が他の音色と横並びに出てくる感じ。
また,解像度は高いものの,私の耳には「高すぎ」と感じるほどで,しかも高音が異様に強すぎるため,そこだけが目立ってしまいます。
横並びの音場とともに,なにか「能面」のような音で,聴いていて全く楽しくありません。DX220には合わないかな…?
最後の銀メッキ銅線2.5㎜リケーブル。
こちらもヤフオクでの購入。
AK120Ⅱでは,高音側の伸びが物足りずに,銀線に出番を奪われていましたが,今回のDX220では,ビンゴでした。
というか,ケーブルの性質を度外視しても,「DX220」と「AK120Ⅱ」の能力差は明らかですね。
断然「DX220」が優れています。全ての面で。
時代の進化なのか,メーカーの音作りの違いなのか…。
この「DX220」,評判なのが分かるDAPです。
DX220の超高解像度の音と,低音寄りになる銅線素材が丁度いい具合にフィットします。
ボーカル帯の中音域もはつらつとして主張しますし,低音もしっかり出ます。
高音域もしっかりと伸び,破綻がありません。
「MOMENTUM True Wireless」は,解像度は高いものの,高音域で息切れするのが分かりますので,明かな差が見て取れます。
というわけで,この銅線素材のバランスケーブルで「MOMENTUM True Wireless」と勝負です。
ちなみに,「DX220」には,AndroidOSとMangoOSの2つのOSが搭載され,双方に異なるプレーヤーが用意されていることは,以前の記事でご紹介しました。
「MangoOS」は音質に特化したバージョンになるとのことで,こちらの音も聴いてみたのですが,私には「濃厚すぎて」合いませんでした。
ドロドロしているというか,音が分離せずに固まっているというか…。
特にボーカル帯の中音域…。
見晴らしのよい音を望むのであれば,私はAndroidOS側のプレーヤーを選択します。
さて,判決! それでも私は「iPhone+MOMENTUM True Wireless」を選ぶ
じっくり聞き比べての結論です。
たしかに「DX220」は素晴らしいDAPです。
しかし,私は「iPhone+MOMENTUM True Wireless」を選択します。
その心は…。
①「MOMENTUM True Wireless」も十分に高音質である
普通,ダントツに高音質のモデルを聞いた直後に,従来のモデルを聴くと,アラが見えてくるものです。
しかし,「DX220+UMPRO30」から「iPhone+MOMENTUM True Wireless」にシステムを変更しても,「音質が悪くなった」という感覚がしないのです。
もちろん,解像度だったり,音の張り出し,高音域の伸び,引き締まった低音というように,部分部分でみると当然DX220の方が勝っているのですが,その部分でさえ,「MOMENTUM True Wireless」が全くダメというレベルではありません。
普通であれば,レベルが高い音を聴くと,後戻りはできないものですが,そうならないあたり,「MOMENTUM True Wireless」の基本性能の高さを物語っているように感じます。
「MOMENTUM True Wireless」も十分解像度が高く,低・高音も立派な,いい音です。
②中音域の表現の違い
DX220は「中音域が主張する」と前述しましたが,私にはやや「主張しすぎ」のように感じます。
若干前に出すぎなのに加え,解像度,音圧もかなりありますので,どうしてもそこが目立ってしまうのです。
反面「MOMENTUM True Wireless」は,しっかりとした中音でありながら,本当に低・中・高音域の音のつながりが素晴らしいのです。
ダイナミックドライバーの特徴ということもあるかもしれませんが,IE800のときに感じてた中音域の引っ込みもありませんので,やはり「MOMENTUM True Wireless」独自の特徴であると考えます。
長時間聴いていると,「DX220」では中音が悪目立ちするようになり,これが気になってしょうが無くなります。
濃厚な音だけに放っておけないレベルなのです…。
③空間表現の違い
②にも書いた,低・中・高音の繋がりの自然さに加え,「MOMENTUM True Wireless」は空間表現が100点満点の巧みさです。
DX220も悪くはないのです。
横の広がりも十分。縦方向の奥行きもあります。
しかし,「MOMENTUM True Wireless」はこれに加えて「3D的」なといいますか,「全方位的」な音の広がりをするのです。
縦,横という表現ではなく,自分の周りを「ボール状の球体で」音が包んでいる感覚です。
この空間表現が音の広がり,そして「艶」を生みます。
解像度がありながらも優しい音。そして聴いていて楽しく,心が安まる音。
音に包み込まれているという感覚が,トータルとして音のレベルを向上させているのだと思います。
④聴き疲れの違い
「DX220」は,音圧もあり,中音の主張も強いことから,ある程度聴き疲れします。高音が刺さるわけではないので,絶望的ではありませんが,密閉感も強く,「しょうがないかな?」という感じ。
しかし,「MOMENTUM True Wireless」はこの聴き疲れというものを感じない不思議な機種なのです。
カナル型なのに密閉感がなく,非常に開放的。
ダイナミックドライバーのリスニング傾向の音とも相まって,本当に気持ちのいい音。
イヤピースの選択にはシビアですが,ひとたびぴったりくるものが見つかったら,手放せなくなること請け合いです。
というわけで…。
私は「iPhone+MOMENTUM True Wireless」を最上の選択としました。
使い勝手云々ということではなく,純粋に音質の評価をしてということです。
これだからイヤホンの沼の世界は怖いです…。
壮大な実験となりましたが,今はなぜか非常にすっきりとしています。
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