過度な低音が諸悪の根源
Appleのスマートスピーカー「HomePod」のレビューをしております。
世の中ではその音質が絶賛されている「HomePod」ですが,本格的なオーディオシステムで音楽を聴くことが考え方のベースになっている私からすると,「HomePod」は音質を語るべきスピーカーには全く届いていないというのが結論です。
これ,イヤホンで高音質を求めている方々にもご理解いただける間隔だと思われます。
また,期待していた「サラウンド的な効果」も今ひとつで,特に「2台でのステレオサウンド」をもくろんでいる方々は,慎重に考えることが必要だと感じます。
私は「HomePod」をゆったりとBGM的な感覚で利用しようと考えておりましたので,解像感のない「HomePod」の音は「私にとっては」まずまずかな…というところです。
しかし!
それにしても「低音」が気になります。
そう,前記事にも書きましたが,異様に重低音が響き渡るのが「HomePod」なのです。
特に2台の「ステレオ」状態にするとその傾向が非常に強くなり,中・高音のボーカル帯が埋もれてしまいます。
1台のモノラル状態ですと,2台のときよりは低音が目立たなくなりますので,「ステレオ化」がマイナスに働いてしまっているのが非常に残念です。
アコースティックな曲ですとそれほど気になりませんが,ドラムやベースが入ってくると,曲としての雰囲気が崩れてしますいますので,「汎用性」という点でも問題ありです。
ということで,先週末は部屋の中の様々な場所に「HomePod」を置いてみて,その音質傾向の違いを検証してみました。
「距離」「高さ」「間隔」 大切なのは…?
通常のステレオスピーカーであれば,「スピーカーと人との距離」「スピーカーの高さ」「スピーカー同士の間隔(距離との関係もありますが)」「スピーカーの向き」などに最新の注意を払って設置します。
「HomePod」に関しては,「向き」は考えなくてもいいですね。
360度に音が出るシステムですので…。
さて,残る「距離」「高さ」「間隔」ですが,私が最も大切だと感じたのは,ズバリ「高さ」です。
通常のスピーカーですと,中・高音を担当する「ツイーター」「スコーカー」の付近に自分の耳が平行に位置されるような高さにするのが一般的です。
しかし,「HomePod」は,ウーファーが上を向き,複数のツイーターが本体下部にレイアウトされており,通常のスピーカーとは逆の位置関係となっています。
あるWebレビュー記事には,「ツイーターを耳の位置に揃えると最上の音になった」と記載されていましたが,私は真逆の印象をもちました。
ツイーターを耳の位置を平行にすると,とにかく「低音」が響くのです。
無駄に…。
色々と試してみると,「HomePod」を上から見下ろすような位置関係で聴くと重低音がある程度改善されるとともに,ボーカルの中・高音部が聴き取りやすくなります。
まあ,煌びやかな高音というわけでは全くありませんが…。
逆に,下から見上げるような位置関係では,やや低音が弱まるものの,今度は中・高音部までマスクされてしまいます。
どうやら,低音を担当するウーファーが向いている上方に中・高音部が抜け,低音はツイーターが向いている横方向に出力されているようです。
内部構成を否定するかのような音の出方ですが,各ユニットから出力された音が外部に出るまで,音の流れが「HomePod」の内部で加工されているようです。
こもり感のある音を考えると,今回の音の加工は「失敗の部類に入るのでは…」と捉えたりもしています。
結論!
「間隔」「距離」について
「間隔」「距離」に関しては,「高さ」に比べるとたいした問題ではないように感じました。
ステレオで使用するからには,そんなに2台を近づけ置くとは考えられませんし,ステレオ効果を得るためにはそんなに近くに置くことも考えづらいでしょう。
ただ,近すぎると「低音の強さが非常に耳障り」ですし,遠すぎると「ボワボワした低音だけが部屋に響く」ようになります。
そう,結局最後まで「低音」が全てを壊しているのです。
総じて考えると,「誰にでもお勧めできるものではない」ということになるのかなぁ…。
残念ながら…。
もしかすると,360度に音を出す現在のスマートスピーカーの考え方で,「音質重視」と銘打ってしまった時点で「アウト」だったのかもしれません。
音響メーカーとしてのAppleの立ち位置,相当怪しいですね。