iPhone11Proで新たに搭載された広角レンズ
3眼レンズが搭載され,そのデザインが大いに話題になっているiPhone11Pro。
その中でも,新たに搭載された「超広角レンズ」に注目が集まっています。
この「超広角レンズ」,スペックは以下の通り。
この中で最も注目すべきは「13㎜」という画角です。
デジタル一眼で言えば,所謂「標準ズームレンズ」として考えられるのが,「24㎜〜70㎜」程度の画角幅。一眼用の超広角ズームレンズなどは,「16㎜〜35㎜」という設定の物が多く,iPhone11Proの「13㎜」というのはスペック的には実は「破格」の数値なのです。
まあ,一眼でいうところの標準レンズの画角は「50㎜」。これが,人間の目で見える画角に近いことから,正に「標準」と言われている所以なのですが,iPhone11Proでは望遠で「52㎜」相当となっており,スマホ用のセンサーサイズが小さいことから,元々画角は広めにつくられているようです。
ということは,「2倍光学ズーム」を搭載したiPhone11Proは,「13㎜〜104㎜」相当の画角をフォローする万能カメラということになりますね。
これが,「光学ズーム4倍」程度までがんばってくれれば,とりあえず一眼で言う「200㎜」をフォローすることになって万能度が増すのですが…。デジタルズームを絡めるとどうしても画質が落ちますので,今後の課題ということで。
さて,「目玉機能」ともいえる「超広角レンズ」ですが,これ,なかなかおもしろいです。世界が変わりますね。
「見える範囲を超える」フレーミング
この超広角レンズの効用に関しては,以下の記事に詳しく書かれています。
「13㎜」の画角ということは,当然人間が一目で捉えられる画角を大きく超えているわけで,正に「見えない世界を切り取ることのできる」レンズということになります。
360度を写すことのできる「魚眼レンズ」はあまりにディフォルメされた作為的な画像になるわけですが,超広角はあくまでも写真としての世界観を壊さない範囲ですので,画角の違いを楽しむという意味でも新たな視点を与えてくれるレンズといえます。
上記の記事で紹介されているのがこちらの画像。
「26㎜」の広角でも相当画角が広いわけですが,「13㎜」になると周囲からの「囲まれ感」がまるでちがいますね。
また,私も「13㎜」を試してみて感じたのは,超広角になると「横」の意識だけではなく「縦」の意識も大切になるということ。
どういうことかというと,上記の写真いえば,「13㎜」の画像では上部のビル群と下部の道路(横断歩道,人並み,車線等)がこの写真の世界観を決める要素となります。「広がり」を演出する部分ですね。
私もお遊びで公園の風景を撮ってみました。
雲の位置関係がおもしろいですね。上部の大きなかたまり,中央下部の小さく連なる雲,その下の木々の並び…。この横に繋がる感覚は,標準やこれまでの広角レンズでは表現できないものです。
実はこの際,地面に座り込んでやや上を見上げるような角度で撮影しています。この超広角レンズ,撮影する側の立ち位置によって全く画像が変わってくるようです。この場合,普通に立ったままの位置で撮影すると,この「囲まれ感」は全く表現できませんでした。
更にこちら。
上の写真よりも地面や木々の占める割合を大きく撮ってみました。
これにより,木々による「囲まれ感」のほか,中央部に引き込まれるような「奥行き感」が生まれました。こちらは立ったままの位置で撮影したことにより,中央部が画像の中心になるように感じられるような画像になりました。
こちらも,標準画角では,中央部のみが切り取られるような画像になり,写真の中に「流れ」や「勢い」のようなものを作り上げることはできませんでした。
画質がやや劣ることが気がかりだが…
上の記事によると,この超広角,
・パンフォーカスでオートフォーカス未搭載
・センサーの1画素あたりのピッチは,広角カメラが1.4μmなのに対し,超広角カメラは1.0μm
という欠点もあるようです。
同様の「1,200万画素」でありながら,センサーサイズが小さいため,レンズの明るさを表すf値も,広角f1.8,望遠f2.0に対し,超広角は「f2.4」となっていますね。
つまり,同様のシチュエーションであれば,超広角は暗く写ってしまうということ。また,当然センサーサイズが大きいほど写り自体もよくなっていきますので,こと画質という面ではやや劣っているということはいえるでしょう。
まあ,明るい状態であればそれほど気にならないでしょうが…。
しかし,この「13㎜」の世界観は,何物にも代えがたい感動を与えてくれます。
「写真をどんどん撮影したい!」
と思わせてくれるレンズであることは間違いないでしょう。