音質は非常に残念…
Apple名義では初のノイキャン搭載イヤホン「AirPods Pro」のレビューを行っております。昨日は第1弾として「開封・ペアリング編」をお届けしました。
さて,第2弾の今回は「音質傾向編」です。
以前から書かせていただいておりますが,期待したいのは「音質」そのものよりも「音質傾向」です。正直,解像度バリバリ等の「純粋な音質」は最初から期待しておりませんでした。それよりも,これまでのEarPods→AirPodsの系譜を受け継ぐ「開放的で聴き疲れしない音」が,AirPods Proでも継承されるのか…という点が全てでした。
結論からいえば…,「残念」と言わざるを得ません。
ノイキャンをとるか,開放的な音をとるか…
AirPods Proの音質に関しては,非常に好意的なレビューが目立ちます。
もちろん個々の耳の形状やイヤピースの当たり具合で聴こえは異なることを理解しつつも,
「何故この音を"高音質"と評価できるの…?」
と疑問に思います。
というのも,この機種本来のノイキャンを効かせるとなるとイヤピースがしっかりと挿入されていなければならないわけで,そうなるとユーザーごとの耳の形などの条件は結構フラットな状態になると考えるからです(ノイキャンの具合に関しては次回お伝えします)。通常のイヤホンであれば,イヤピースが浮いていたり,サイズが不適当だったりといった要素が考えられますが,AirPods Proはジャストファットしていなければノイキャンが十分に効きませんので,すぐ分かるはずですから。
また,AirPods Proには,装着状態が適切かどうかをチェックする機能がありますので,なおさらですね。
という前提で音質を語るのであれば,カナル式となり,これまでと違ってイヤピースが深く挿入されることで,実につまらない音になった…と感じます。
「ノイキャンありき」ということで,イヤピースを深く挿入しなくてはならず,ただでさえボワボワの低音が支配的となった上に,中・高音の透明さがまったくありません。2枚も3枚もベールがかかった感じ…。解像度も全くなし!
はっきり言って,この機種で「音楽を楽しもう」とは思えないほどの残念な音でした。
AirPods Proの後にAirPods2を聴くと,高音までまっすぐと伸び,解像度があるすがすがしい音に聴こえます(低音の不足は感じますが)。
しかし,当然AirPods2の音質は「MOMENTUM True Wireless」や「TE-BD21f」などの「音質を語れる」レベルのイヤホンと比較すると平凡なものですので,AirPods Proの音質がどれだけ低いものかということが分かるでしょう。
やはり,「カナル式で,しかもノイキャンのために密閉しなくてはならない」という事柄が,音質そのものやこれまでの音質傾向を壊してしまった原因なのでしょう。これまでのAirPodsのように,「ある程度の音質でありながら開放的であり,しかも絶対的に聴き疲れしない音」のままにノイキャンを効かせることはできなかったようです。
ただただ残念です。
使用目的が限られる!
以上,あくまでも個人的な意見なのですが,AirPods Proでは音楽は聴く気にはなれません。
利用用途として現在考えているのは,
①周囲の音が気になる場での,iPad等での動画鑑賞
②周囲の音が気になる場での,どうしてもMOMENTUM Wireless3を持ち込めない場合の音楽鑑賞
くらいです。②も,できるだけ避けたい。AirPods Proで音楽を聴くくらいだったら,音楽鑑賞そのものは諦めるかもしれません。
また,自宅内で周囲の音が気にならない場合は,気軽な音楽鑑賞,あるいは動画鑑賞でも積極的に「AirPods2」を手に取ることになるでしょう。明らかに高音が伸び,「音」を楽しめるのはこれまでの機種の方です。動画の台詞なども生き生きと聴こえます。レビューをしている方の中には,「もう旧AirPodsはいらない」というご意見もありましたが,私は真っ向から反対です。ノイキャンが必要ないのであれば,ノーマルAirPodsです。
というわけで,元来AirPodsに過度な音質は期待してはいなかったものの,ここまでひどいとは思っていなかっただけに少々戸惑っています。
そして精神的に追い込んでくる要素が,その「価格」。
「3万円も出して,この音質であり,結果として使用用途が非常に限定的になるなんて納得できない…」
とつぶやく私がいるのです。
どんだけコスパ悪いんだよ…ということです。
しかし手放すことはありません。
その理由は「ノイキャン」です。
この点については第3弾で…。