誰もこれ程のノイキャン性能は考えていなかったのでは?
Apple名義では初のノイキャン搭載イヤホン「AirPods Pro」のレビューを行っております。ここまで「開封・ペアリング編」「音質傾向編」をお届けしました。
本日は第3弾。「ノイズキャンセリング編」です。
レビュー①の中で,「ノイキャン」と「音質傾向」が「一勝一敗」の状態であるということをお伝えしました。
レビュー②で,従来のAirPodsの軽やかで開放感のある音質とは異なった音質傾向になり,「進んで音楽を聴きたくなるような音では無くなった…」ということを書きましたので,「ノイキャン」に関しては「勝ち」ということになるわけです。
しかも,誰もがAirPodsにこれ程のノイキャン性能が施されるとは考えていなかったであろうほどの「大勝利」です!
特に重低音に強い強烈ノイキャン!
開放感のある音とのトレードオフで手に入れたノイキャンはかなりの実力です。
SONYの「WF-1000XM3」よりかなり効きが大きいでしょう。
比較すると,オーバーヘッドホンであるゼンハイザーの「MOMENTUM Wireless3」よりやや効きが弱い…というところ。「MOMENTUM Wireless3」は,同じくSONYの「WH-1000XM3」に比べるとノイキャンの効きがやや弱いものの,ノイキャン特有の癖が全くない,超絶美音のヘッドホンです。
「WH-1000XMよりは弱い…」とは言っても,必要十分であり,ひとたび音が流れると音に浸れるという意味で言えばベストと言える逸品。つまり,この機種に迫るノイキャン性能をもつAirPods Proのノイキャンは,「イヤホンとすれば現在最強」ともいえるものに仕上がっています。
本当に強烈ですよ。
傾向とすれば,「特に重低音に強い」という特徴があります。この点だけで言えば,MOMENTUM Wireless3と同レベルと言っても過言ではありません。
実際に自動車の助手席に座って試してみましたが,ロードノイズは完璧にシャットアウト。音楽をごく低音で鳴らしても,十分に堪能できるほどです。恐らく電車や飛行機でも同じ傾向が認められるでしょう。同様に,換気扇,エアコンの音などの低音寄りの生活音も綺麗さっぱり聞こえなくなりました。
MOMENTUM Wireless3との違いは「高い音」です。「WH-1000XM3」でもどうしても高い音だけは入ってきてしまうなど,ノイキャン機の弱点がここですね。AirPods Proは思いのほか入って来る印象です(特にノイキャンを効かせ,音楽を流していないと顕著に感じる)。女性の声,金属やガラスなどの音,ビニールのカサカサ等…。恐らく,耳全体を覆っているヘッドホンとの構造的な違いなのでしょう。
しかし…。
入ってくる高音部も非常にマイルドになってきますので,音楽をかけていれば全く気にならないほどになってしまいます。また,ノイキャンの効き自体も非常に自然であり,「何が何でもノイキャンを効かせよう」とするのでは無く,「音楽を流した段階で外部音が聞こえなくなれば文句はないでしょ?」とする考え方。これは,正にMOMENTUM Wireless3のノイキャンの考え方と同一であり,非常に好ましいと感じました。
ヘッドホンと同レベルで考えられるノイキャン性能…。ここにAirPods Proの恐ろしさがありますね。
これで明瞭な音質であれば「最強」なのだが…
返す返すも「音質とのトレードオフ」であることが悔やまれます。
このノイキャンが,これまでのApple伝統の音のままで届けられたなら,正に「最強」だったのですが…。
「レビュー②」でも述べた通り,私はこのAirPods Proで音楽を楽しむ気にはなりませんので,通常は外部音がある状況でのiPadでの動画鑑賞に使用する予定です。ワークアウト時も,このこもった音で走りたくありませんので,これまで通り無印AirPodsですね。
それ以外のノイキャンが必要な場合の音楽鑑賞は「MOMENTUM Wireless3」一択です。私のように「音質」にある程度こだわる方だったら,この判断,分かっていただけると思うのですが…。
「AirPods Proの音質,絶賛の嵐」の中ですが,あえて注意が必要であることを伝えたいと考えます。
もちろん,音の好み,何をして「高音質」というのか…という判断等には個人差があることを承知の上で…。