Samsungが指紋認証を捨てる?
Android勢は以前のiPhoneのように率先して先進技術を投入しています。有機ELパネル,ベゼルレスデザイン,5G,折りたたみ式デバイス,指紋認証内蔵ディスプレー等々,最近ではiPhoneの方が後追いしたり,未搭載のまま経過したりしている技術が目立ちますね。
これらの中でも,ひときわAndroidとiPhoneとの違いが際立つのが,「認証システム」です。Touch IDをいち早く導入したiPhoneは,iPhoneXで「Face ID」へとその舵を一気に切ってきました。廉価版以外は全てFace ID,というのが現在のiPhoneの立ち位置です。
これに対してAndroid勢は,いち早く「Face ID+指紋認証」のW認証システムを打ち出してきました。確かに便利ではあるわけです。顔認証のためには,端末を顔を認識できる範囲に移動させる必要がありますが,指紋認証は指だけをあてがえばいいわけですので…。
しかし,AppleはFace IDを譲りませんでした。その理由が「信頼性」であることは皆さんもご存知のとおりです。「マスクをしていると認証できない」等の不都合は承知の上で,AppleはFace IDの安全性を第一として捉え続けています。逆にAndroid勢はAppleほどの信頼性を担保できないまま,指紋認証とのW認証システムへと舵を切り始めました。
そしてついにほころび始めたようで…。
Samsungが,次期Galaxyフラッグシップモデルで,指紋認証システムを捨てる…という記事が来ています。
積極的後退か…消極的後退か…? それが問題だ!
「指紋認証から顔認証へ…」
という流れそのものはどうでもいいのです。
問題はその理由ですね。
そもそも顔認証に関しては,AppleのFace IDの認識精度がAndroid勢のそれに比べて格段に上であるということは広く認知されています。だからこそ我々iPhoneユーザーは,多少の利用上の不都合には目をつぶってもAppleの考えを支持できるわけです。
しかし,Android勢が「指紋認証+顔認証」のW認証に走った理由を考えたときに,
「顔認証だけでは認証精度に自信をもてないための逃げの戦略なのではないか…」
と,どうしても考えてしまいます。
そして少し前に発生したGalaxyの指紋認証トラブル。
保護ガラスによって性能が左右されるような認証システムではそもそも我々の個人情報を預けるわけにはいきませんし,GalaxyFold表面のシートを剥がす,剥がさないという問題もあったように,Samsungのディスプレイと動作・システム関連との繋がりには,あまりにもシビアな関係性がありそう…。
「高性能」を謳うものの,それがSamsungが想定するある一定の環境下でしか実現できないものであれば,なかなか一般のユーザーには受け入れられないのではないでしょうか?
今回の「顔認証を捨てる」という事例にしても,
「感認証の精度が上がった」
ということよりも,
「指紋認証システムのトラブルを回避するために顔認証に絞らざるを得なかった…」
と捉えるのが正解なのではないでしょうか?
「自信があり,ユーザーにメリットをもたらすものしか世に問わない」
という考えのAppleと,
「新たに開発したおもしろそうなもの,先進的なものは,とりあえず世に問うてみて反応を伺おう」
という考えのSamsung。
「最近のAppleはおもしろくない!」
といわれても,私はAppleの1票です。