フラッシュなしでそこそこ撮れるiPhone11Proだが…
スマホカメラの急速な発展と限界を考え,いつでも手にできるフルサイズ一眼を手にすべく,Canon「EOS RP」と比較していくシリーズ第6弾。
前回ようやく「EOS RP」の実機を手にしたことをお伝えしました。今回は室内での「中・高感度撮影時」の比較です。
「iPhone11ProとCanonのミラーレスEOS RP」今時のカメラ・写真を考える①〜iPhone11Proの写真は素晴らしいが…〜 - カスタム/CUSTOM/でいこう😎
「iPhone11ProとCanonのミラーレスEOS RP」今時のカメラ・写真を考える②〜「EOS RP」をどのように使う?〜 - カスタム/CUSTOM/でいこう😎
「iPhone11ProとCanonのミラーレスEOS RP」今時のカメラ・写真を考える③〜「EOS RP」を選択したもうひとつの理由「デジ一生き残り編」〜 - カスタム/CUSTOM/でいこう😎
「iPhone11ProとCanonのミラーレスEOS RP」今時のカメラ・写真を考える④〜「EOS RP」を選択したもうひとつの理由「取捨選択編」〜 - カスタム/CUSTOM/でいこう😎
「iPhone11ProとCanonのミラーレスEOS RP」今時のカメラ・写真を考える⑤〜「EOS RP」到着! 一眼レフとの大きさの違いを見よ〜 - カスタム/CUSTOM/でいこう😎
まずもってiPhone11Proのカメラの驚異的なところは,一眼ではフラッシュを焚いたり,三脚で固定しなくては撮影できないような明るさのシチュエーションでも平気で撮影できてしまうところです。
この点が,「手軽さ」という点で一眼が置き去りにされ,その販売台数を大幅に落としている最大の要因でしょう(シリーズ③・生き残り編参照)。
もちろん機材や条件が十分な中で撮影すれば一眼の画像が優れていることは当然ですが,日常のスナップにそんな手間暇をかけている余裕も時間もある訳がありません。しかし,ここで,
「それでも,プリントアウトを考えると,どうしてもiPhone11Proの画質では物足りない…」
と考えてしまったことが,今回の「EOS RP」購入の契機になっているわけで…。
なかなかに悩ましい事柄です。
そこで,「EOS RP」を購入して真っ先に,
「室内灯のみの状況下(iPhone11Proがナイトモードにならない程度)での,フラッシュなしEOS RPとiPhone11Pro画質比較」
を行ってみました。
ここでiPhone11Proが勝利するようであれば,もはや「一眼はいらない!」ということになってしまいますが…。
結果はいかに?
あくまでも素人の1つの実験の結果として,寛大な心でご覧いただけると幸いです。
iPhone11ProはEOS RP「iso12800程度」の画質か?
撮影したのは,夜間の自宅書斎。本棚の本を撮影してノイズや解像度を見ることにしました。
iPhone11Proは通常撮影。ナイトモードになるほどの暗さではありませんでした。
EOS RPは,iPhone11Proがパンフォーカスということもあり,条件を揃えるために「f8」まで絞りました。このときのシャッタースピードは「1/10程度」です。
EOS RPのレンズ「RF35 MACRO IS STM」は,「f1.8」と明るい単焦点レンズであることに加え,「5段」の手ぶれ補正機能を備えています。がんばれば「1/6」程度まではいけそうでしたが,今回は「1/10」で。
まずは,EOS RPの高感度画質を試し撮り。
以下のような画角で撮影したものをiPhone11Proと同様のピクセル数に縮小した上で,画面の一部を取り出して比較してみました。
上から,iso「5000」「12800」「25600」「40000」,そして一番下が「iPhone11Pro」です。
小さい画面ではよく分からないかもしれませんが,拡大してみると,EOS RPもiso12800あたりからかなり厳しい状況です。
それでも,6400あたりまでは十分常用できるのには,時代の進歩を感じます。
Canon機センサーの特徴として,感度が限界を超えるとノイズがでるいうよりも「画像が溶けるようにはっきりしなくなる」という,非常に気持ちの悪い悪化の仕方をします。これはEOS RPでも変わっていないようです。
でっ,結論として…。
見る人によって感じ方は異なるかもしれませんが,
「EOS RPのiso12800とiPhone11Proの画像が同等」
程度だと,私は感じました。
前述したとおり,さすがのフルサイズセンサー搭載機「EOS RP」も,iso12800になるとノイズが急に目立ちはじめ,若干「溶け」始めます。
対するiPhone11Proは,非常にノイズ感は強いものの,その分「解像感」は素晴らしいです。しかし,異様にシャープネスが強く,画像が「バリバリ」していて柔らかさが皆無ですので,どうしても立体感に欠ける結果になります。
iPhone11Proの画像に奥行きや立体感に欠ける傾向にあるのは,つまり一眼との決定的な描写の差になるのは,この部分が原因なのではないかと考えました。
f8による「EOS RP+RF35 MACRO IS STM」の組み合わせギリギリ手持ちが可能であるiso5000では,以下のように決定的な差があります。
この結果だけを切り取って考えれば,やはり一眼とiPhone11Proの間には超えられない壁があると言えましょう。
状況が変われば…iPhone11Proの底力が見えてくる
一眼の面目躍如…という感じではありますが,実は心中穏やかではありません。iPhone11Proの描写力が思いのほか健闘していたからです。
平面的で立体感や空気感がない…という,画像の本質的な部分はさておいて考えてみます。この部分,写真にこだわりがある層には譲れないところであり,私はこの部分だけでも「プリントアウトするならEOS RP」と断言しますが,一般的にはそこまで気にしない方々が多いでしょうから。
①なんでこんなに高感度に強いの?
まずもって,これだけ小さいセンサーとレンズで,どうしてここまで高感度に強いのか…。一眼を使用してきたユーザーからすると驚異的とも言える描写です。AIの処理能力恐るべし…と強く感じました。
フラッシュなしで,しかもパンフォーカスで,これだけやられてしまっては,特にコンパクトデジカメが玉砕してしまうのがよく分かります。一般的に言えば十分です。
②この解像度は異常!
エッジが立ちすぎてギスギスしすぎており,「写真」としてはどうかと思いますが,iPhone11Proの解像度はやはり異常とも言えるレベルに達していると思います。ノイズはあるものの,解像度だけをとればEOS RP以上かも…と感じる部分もありました。まあ,レタッチでいくらでも調整できるものではありますが…。
また,高感度撮影でも,EOS RP以上に解像度を残す調整になっており「簡単に,はっきりと撮りたい」という一般ユーザーからしてみれば,iPhone11Proの方が望ましい…と考えるかもしれません。
③EOS RPも,レンズによって結果が異なってくる
今回は,「RF35 MACRO IS STM」の存在がEOS RPに味方しました。
単焦点で明るく,そして5段の手ぶれ補正機能が付いています。
つまり,手ぶれ補正がないレンズよりも遅いシャッタースピードで撮影できるということ。
もし今回,手ぶれ補正なしのレンズを使用していたら,手ぶれしないシャッタースピードにするためには,isoをもっと上げなくてはなりません。つまり,その分だけ画質が悪化していくということ。だとすれば,結果はよりiPhone11Proに有利に働くはずです。
また,EOS RPはフルサイズセンサー搭載。これよりもサイズの小さいAPS-C機では,こちらも結果はiPhone11Proに有利に働くはず。
「こだわりが無ければiPhone11Proで十分…?」
という考え方もできると,改めて感じました。