オープンイヤー型ノイキャンは成立するのか?
唯一無二の「オープンイヤー型ノイズキャンセリングイヤホン」として異彩を放つ「HUAWEI FreeBuds 3」。
前回は,その開封,セッティングの様子をお届けしました。
今回はいよいよ,肝心の「音質」「ノイズキャンセリングの効き」についてです。
「思いもかけない掘り出し物」となるのか,それとも「やっぱり…」となるのか? では早速いきましょう!
元気な音ではあるが,深みはない
AirPodsとほぼ同様の形状であり,オープンイヤー型のイヤホンということで,
「AirPodsに似た音になるのでは…」
と予想していましたが,大方の予想は当たっていました。
非常に素直な音で聞きやすく,オープンイヤー型のよさを十分に生かしています。
AirPods(初代・2)と比較すると,「HUAWEI FreeBuds 3」の方が高音に寄せている傾向が強いと感じました。その分,解像感はAirPodsよりも高く,女性ボーカルなどは爽やかに聴かせます。
しかし,その分低音の張り出しが非常に弱く,「スカスカ」といってもいいような印象です。
AirPodsは,「HUAWEI FreeBuds 3」同様に線がやや細い音なのですが,意外なほどに低音が張り出してくる印象がありました(ボワボワする印象は強いですが…)。この部分が全体の空気感,立体感を出すことに繋がっていたことが,AirPodsの不思議な魅力の根底にあると考えています。
というわけで,「HUAWEI FreeBuds 3」は高音寄りの爽やかな音ではあるが,音の深み,立体感のようなものが不足していると言えるでしょう。
一方のAirPodsは,煌びやかさにはやや欠けるものの,適度な繊細さをもつとともに,低音のしっかりとした下支えもあって,万能型だと感じます。
個人的にはAirPodsの方が格段に好みです。
やはり適度な低音は大切です。
「うっすら」とかかるノイキャン…これでは勝負にならない
さて,最大の関心事,「ノイズキャンセリング」。
これが,ある程度使い物になるのであれば,「心地いいノイキャン機」となりますが…。
結果は…。
「ダメです! 使い物になりません。」
となってしまいました。残念ですが…。
ほんの少し,ほわっとノイキャンがかかるのは分かります。ノイキャンが作動する前にホワイトノイズが乗る瞬間があり,その後ほんの僅か,薄いベールがかかるほどのノイキャンが働くことになります。
しかし,このノイキャンの効きが非常に弱く,例のホワイトノイズというきっかけがなければ,作動したのかどうかさえ明確に判断できないほどです。しかし,ON,OFFを切り替えてみると,「確かに多少はかかっているな…」と認識できるレベル。
AirPodsProではほぼ完全にシャットアウトされる重低音もそっくりそのまま入ってきますし,高音部では言わずもがな…。
AirPodsProであれば,会話等の音は入ってくるものの,iPadでの映画やドラマの視聴を続けること自体は快適に行えますが,「HUAWEI FreeBuds 3」では厳しいです。
正直,AirPods(初代・2)でも,一旦音が出始めるとある程度までは周囲の音があっても聞けたわけですが,それとさして差はないかと…。
もしかすると,私の耳に合っていないということもあるかもしれませんし,比較の対象がAirPodsProということで判断が厳しくなっている可能性も否定はできません。しかし,AirPodsPro対策として購入しているわけですので,それを承知の上で判断を下さなくてはなりません。
「HUAWEI FreeBuds 3」のノイキャンは,「おまけ程度」と考えた方がよく,ことノイキャン性能ということであれば,ヘッドホンを除くイヤホンの中では,現状AirPodsProが最強であるということを再認識する結果となりました。
また,
「ノイキャンの効きを受けたいのであれば,やはりそれなりの強さのノイキャン性能が必要である」
ということも改めて強く感じました。中途半端なものでは,結局不満が出てしまうということ…。
圧迫感も感じ,音質には大きな不満を抱えるAirPodsProですが,イヤホン使用時でノイキャンが必要な場合には,「これ一択」と言える存在になりそうです。