ワイヤレスイヤホンの弱点「レイテンシ」は改善されたか?
2019年,世の中は潮流は完全に「ワイヤレスイヤホン」へと傾きました。
それ以前にも「AirPods」の登場以来,Appleユーザーを中心に裾野を広げてはいましたが,昨年までは有線イヤホンを利用している人が絶対的に多かった印象です。
しかし,この一年を経て,ワイヤレスイヤホンを利用するユーザーが飛躍的に増加しました。
ここには,大きな2つの要因が存在すると考えています。それは,
①AirPods2,AirPodsProの2つの新製品を投入したAppleが市場をリードした
②新規参入を含めた,様々な企業がワイヤレスイヤホンの製造を始めた
ということ。
特に②が盛んになったことで,高級価格帯での競争も起きましたし,低価格の機種も次々に登場し,特に若い世代がワイヤレスイヤホンを手にしやすくなりました。やはり若者が市場をリードし出すと,状況が一変しますね。
さて,そんなワイヤレスイヤホンの大きな弱点は,「音質」と「レイテンシ(遅延)」だと考えます。以前は「価格」も弱みとして考えていましたが,上記のように,この1年で状況が変わってきました。
今回は,残った弱点のうちの「レイテンシ」の話。
本ブログで「AirPods2」登場時にレイテンシについての紹介記事を書きましたが,その際に基になる記事を書いていた方が,AirPodsProのデータを公開しました。
さて,レイテンシは気にならなくなったのか?
未だ有線のレイテンシには遠く及ばず!
まずは私がAirPods2購入後に書いた記事を。
この中では,初代AirPodsでは厳しかったiPad等での動画鑑賞が,AirPods2になってなんとか行けそう…という検証結果を書きました。
しかし,You Tubeでの楽器演奏動画などでは,指の動きと音の出方にずれが目立ち,使用には耐え難かったことも事実です。
その理由として紹介したのが,以下のグラフ。
初代AirPodsから「最大30%のレイテンシ改善」を謳ったAirPods2ですので,音ゲー「Tapt」利用時のレイテンシは,
・初代→251ms
・2→約175ms
となります。あくまでも「最大30%の改善」ですので,通常はこれよりも遅くなるでしょうが…。この数値で,動画鑑賞がどうにもならなかったレイテンシがなんとか改善されわけです。
しかし,全てに渡ってなんの違和感も感じなかった有線EarPodsの数値は「61ms」と,ダントツのレイテンシ数値をたたき出しているのです。
よって,AirPods2が全ての分野で遅れを感じないようになるには,まずは「100ms」の壁を越えなくてはならないでしょう。
では…。
今回紹介されたAirPodsProのレイテンシ数値はどうか…?
記事では,「144ms」と紹介されています。
確かに,AirPods2の数値よりも改善されてはいます。しかし,EarPodsの「61ms」と比較すると,まだまだ物足りない数値です。
実際,AirPodsPro購入後の私のレビュー内では,
「レイテンシに関してはAirPods2と大差は無い」
とまとめています。
数値的にもそれが証明された形ですね。
「完全実用化」までにはまだまだ時間が必要
私のようなオヤジは,通常の音楽鑑賞に加え,動画鑑賞を満足に行えるくらいのレイテンシ能力があればほぼ十分ですが,それでも楽器演奏動画はちょっとした「我慢」が必要です。
若いユーザーであれば,当然ゲームという利用方法がこれに加わることになるでしょう。恐らくは,完全にしっくりくるとはいえない…という方が大全いるのでは?
AirPodsがEarPodsと同等の快適性を得るためには,もうしばらく時間が必要になるのではないでしょうか?