MacBookにおけるパワーとバッテリーもちの堂々巡り
特にグラフィックボードを積んだMacにおいて,そのGPUが動作し始めるほどの高負荷の状態になると,絶望的なほどにバッテリー持ちが悪くなる…ということは,Macの以前からの大いなる課題です。
基本的にMacBookProはモバイル用途だと考えています。
もちろん,外部GPUを搭載した15インチ,16インチのモデルには,非常に高性能なCPUが積まれることが多いですし,ということは,動画編集,画像加工等の高負荷の作業を前提にしているからこそのMacBook「Pro」でしょう。
しかし,機体を外部に持ち出してのモバイル用途においては,高負荷時のバッテリーが「数時間しかもたない…」ということであれば,「モバイル用途」というMacBookProの意義を否定することになりかねません。
この「マシンパワーとバッテリーもち」の関係性においては,以前から堂々巡りが続いている状態です。
そして,この度その「堂々巡り」に拍車かけるような内容の記事が来ています。
MacBookProに,任意にブーストをかける「Proモード」搭載か?
「保険」としての考え方はあるだろうが…
記事によると,
macOS Catalina 10.15.3ベータの中に「Proモード」という,ユーザーがオン/オフ切り替え可能な新機能の存在を示唆するコードが見つかった
とのこと。
「ユーザーがオン/オフ切り替え可能」ということで,これまでMac側の判断に任されていたブーストのタイミングを,ユーザーの目的に応じて制御できるようになること自体は歓迎すべきことでしょう。
しかし…。
やはりついて回るのは,「パワーとバッテリーもち」の関係性です。
いつでも「ON」にできるからといって,常時「ON」にしていたら,あっという間にバッテリーは空になってしまうことでしょう。
まあ,ACアダプタを付けている際であれば,その心配も無くなるわけで,ブーストの効果を存分に活用することはできるでしょう。
ただ,だとすればiMacでいいわけで…。
やはり,MacBookProの存在意義である「モバイル性」を考えたときに,いくら任意にパワーアップできるようになったからといって,作動時間が極端に短くなるのであれば,「諸手で賛成!」とはいかないのではないでしようか?
まあ,いざというときのための「保険」程度の捉えでいかないと,本末転倒…となってしまいそうです。
対応は16インチ限定では?
この機能,MacOSのアップデートで対応できることなんですね…。OSの制御能力ってやっぱりすごいんだなあ…と意味もなく感心したりします。
さて,今回の「Proモード」ですが,対応するのは現行「16インチモデル」のみ…になるのではないでしょうか?
まずもって,MacBookAirやPro13インチには,別積みのGPUが搭載されていません。そのような機種にブーストをかけ続ける…という利用方法は無理があるでしょう。そもそものマシンの適性が異なるかと…。
高負荷用の16インチであれば,「マシンパワーを要求された場合の選択肢として」という大義名分が立つでしょう。
今回の16インチは,以前の15インチで話題となった排熱関係においても改良されているようですので,CPUやGPUが熱を帯びるような状況でも,大丈夫なのかもしれません。
いずれにせよ,
「任意でブーストできるのはいいが,結局じっくりそのパワーを味わうことはできない…」
という否定的意見が出てこなければいいのですが…。