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湊かなえ「カケラ」,5月14日に発売!〜美容整形をテーマに,人の幸せのありかを見つめる,心理ミステリ長編〜

「嫌気がさすえぐ味」「薄味」と来て,次は…?

 最近の湊かなえさんの作風を見ていると,まるでジェットコースターのように感じます。

 「未来」では,救いようのないくらいの「嫌気がさすえぐ味」を,そして最新巻「落日」では,ちょっと拍子抜けするほどの「薄味イヤミス」を…。

 また,この2冊の間に発表した「ブロードキャスト」では,珍しい「青春イヤミス」の味付けでしたね。

 あっちへ行ったり,こっちに来たり…。
 多様な書き味を意図的に試している…という考えもできるでしょうが,いかんせん内容が伴っていない作品もあるわけで…。

 湊さんほどの作家さんであれば,読み手としては当然「これ以上は…」という勝手なボーダーを引くわけですが,最近はなかなかそのラインを飛び越えてくる作品に出会えていません。
 以前は結構コンスタントに魅力を感じることができていたのですが…。

 そろそろ「告白」級の心の震えや,「花の鎖」級の感動がほしい…と感じていたところに,新作の情報が飛び込んできました。

 5月14日,「カケラ」が発売です。

 

「美容整形」がテーマ… ヘビーな予感!

 この作品,2019年に「小説すばる」で連載されていたものを単行本化した作品のようです。私は連載に目を通したことがありませんので,非常に楽しみ。

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 紹介ページには以下のような記載が…。

【内容情報】(出版社より)
美しくなった少女は、なぜ死を選んだのか?

美容クリニックに勤める医師の橘久乃は,久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると,小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく,八重子には娘がいて,その娘は,高校二年から徐々に学校に行かなくなり,卒業後,ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で,それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は,なぜ死を選んだのかーー?
「美容整形」をテーマに,外見にまつわる自意識や,人の幸せのありかを見つめる,心理ミステリ長編。

 若者が陥りがちな「痩せたい」という思い。往々にして本人の認識と他人の認識とが異なっていたりする場合もあります。しかし,八重子の娘は「何か」に囚われ,最後には死を選んでしまう…。
 果たしてその理由は?
 「自己否定」という思い込みの連鎖だったのか,それとも,母親側に何らかの要因が隠れているのか?

 八重子の娘が囚われたのは何だったのか?
 そして,八重子と娘との間に何があったのか?

 否が応でも,「ヘビーな予感」がしますね。美容整形と自殺が結びつくと…。

 そして…。
 当然,その死には「湊流」の謎掛けがしてあるのでしょう。
 「同級生 八重子の思い出話」が,何の意味合いもなく取り上げられることはないでしょう。橘久乃と八重子とのつながり,八重子と娘との関係性等を絡めながら,八重子の娘の死の理由へと迫っていくのではないでしょうか?

 最近の湊さんの不調は,この「理由付け」の部分の描き込みの不足だと考えていますので,ぜひとも,読者が翻弄され,裏切られるような謎解きをしながらも,最後にはモヤモヤとしながらも納得するという,「湊流イヤミス」の真髄を感じさせてもらいたいと願っとています。

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