Appleといえど,不人気機種は致命傷になりうる
iPhoneXSは不人気,iPhone11は売れ上げ好調…。
これが,市場一般の認識で間違いないでしょう。
代わり映えしない機能に高止まりした価格。さすがのiPhoneも,なかなか新技術・新機能をふんだんに盛り込めなくなってきている現状ではありますが,さすがにiPhoneXSは魅力が足りなかったのかもしれません。
しかし,iPhone11がこれ程までに好調なのも,得心できているわけでもありません。
カメラが3眼になった程度で,目立った機能アップが多いわけではないからです。
個人的には,バッテリーのもちが飛躍的に改善したことだけでも買い換えてよかったと心から思うわけですが,ここまで人気が上がったのは,「価格」が下がったことが大きいのではないでしょうか?
現行iPhoneでは,「Pro」の売れ行きが低迷し,ノーマルの「11」が売れているようです。端末価格と通信料とが完全分離化された以上,ユーザーが端末価格に非常にシビアになっていることが予想されますね。
そんな中,調査会社「IDC」が,2019年第4四半期と2019年全体の国内携帯電話・スマートフォンの出荷台数を発表しました。
そこから見えてくる結果とは?
「XS」の不人気がくっきりと…
まずは2019年通年のデータから。
全体の売上台数が前年比7.5%の減。
これが,スマホ界全体の流れなのか,iPhone11XSの不人気になるものなのかは,iPhone11が投入された「2019年第4四半期」のデータを見れば分かります。
それがこちら。
前年比3.5%増,しかも,Appleのシェが50%以上に回復しています。
つまりは,2019年度は,iPhoneXSシリーズのあまりの不人気ぶりにiPhoneが売れず,Appleシェアだけではなく,日本におけるスマホ販売そのものも沈んでしまった…ということになるわけです。
ある意味恐るべしiPhone…。
iPhone11が好調…とはいえ,2018年度における日本でのiPhoneシェアが「53.8%」だったようですので,シェア自体は完全回復とまでは言えないのかもしれません。
いくらか安くなったとはいえ,iPhone11でも十分に高額。スマホの通信量が高止まりする中で,今後は「フラッグシップを購入する層」と「安価なモデルで済ませようとする層」との二極化が進むのかもしれません。
安価な…とはいえ,もうすでに十分な性能にまで達していますので。
5Gの「+1,000円」に消費者はついていくのか?
本来であれば,4月早々に「iPhone9」が発売されることで,Appleはシェアの拡大をもくろんでいたはずです。さすがに高額端末ばかりに胡座をかくという戦略が,巨人Appleでさえ通用しないということを,「iPhoneXSの大失態」で学んだということでしょう。
コロナウイルスの影響で,恐らくは2020年のスマホ出荷台数は歴史的な落ち込みをすることになるのでしょうが,中期的に見て戦略を練っていくことが必要ですね。
やはり問題は「5G」でしょうか?
大手キャリアは,先日SoftBankが発表したように,これまでの通信量に「+1,000円」することで5Gの利用を認めるとともに,オプションとして5G独自のサービスを提供するような形を選択しているようです。
しかしそれは,ますますの通信量増額を意味します。
果たしてユーザーはその青天井式の料金体系についていくのでしょうか?
5Gに対応することで端末価格はますます上昇,今後は「二つ折り」など,より端末価格が上昇する要因をはらんでいます。
また,楽天の料金発表とともに,「3大キャリアも基本料金を下げてくるのでは…」という予想に反し,「これまでの料金+1,000円」とした料金設定には,個人的には大きな驚きを感じました。
このまま行くのでしょうか? 私としては,以前にも記事に書いたとおり,ベースの料金を下げた上で,「5Gサービス料を加えて今現在の料金になるくらい」が適切だと考えます。
端末メーカー側は,手にしやすい価格帯の魅力を向上させることに注力する,また,キャリア側は,これまでの儲け至上主義を改め,できる限りスリムなプランを設定する,ということが求められます。
また我々ユーザーは,そのキャリアの「姿勢」をしっかりと見極め,高をくくっているキャリアに「NO」を突きつけるくらいの立ち位置で臨むべきなのではないでしょうか?