前評判の高いTechnics「EAH-AZ70Wの実力やいかに?
音質,ノイキャン性能のよさで前評判が異様に高かったTechnics「EAH-AZ70」。
前回は「開封,ペアリング,ファーストインプレッション編」をお届けしました。
今回はエージング前の「取って出しの音質」に関する印象をお届けします。
私が愛用しているイヤホン,ヘッドホンである「MOMENTUM True Wireless」「MOMENTUM Wireless 3」はともにゼンハイザー製。このゼンハイザーの機種は,とにかく「エージングしてなんぼ!」というほど,取って出しの音は全くダメダメです。
これまでの印象では,「MOMENTUM True Wireless」は超ピーキーな音,「MOMENTUM Wireless 3」と低音寄りで沈んだ音と,全く異なる第一印象でしたが,共通しているのは,
「取って出しの音はクソ!」
ということ。
第一印象のみで音質の評価をするユーザーであれば,
「ゼンハイザーのイヤホン,ヘッドホンは二度と買わない!」
と考えてもしょうがないほどのひどいものです。
ところが,エージングを重ねるごとに全く別物の音に変わっていくのがゼンハイザー。
というわけで,今回のTechnicsの音は…と,とりあえずこわごわと曲を聴いてみることにしました。
取って出し時から個性を感じる! よい点も,悪い点も…
一聴して感じるのは,その解像度の高さです。
エージングなしでここまで高解像度の音を出すなんて,まるでBA型のドライバーを搭載しているかのよう。
特に中・高音域の解像感が半端ないですね。これは,これまでの事前レビューの通りです。この音が好きな人にしたら,5秒ほどで虜になってしまうかもしれないほどの音です。とにかく煌びやかで美しい音作りです。
高音側にピークがありすぎて聴き疲れしてしまいそうなほどですので,
「これ,エージングしなくてもポテンシャルを発揮してるんじゃない?」
と思わせる音色。
しかし…。
それと同じくらいの気になる点もあります。この段階で非常に気になったのは,
・低音は前評判以上に出ている。しかし,しまりのないボワボワしたものになっている
・全体的に音に厚み,艶のようなものが感じられない(解像感はあるが薄っぺらい音)
・ボーカル帯である中音の素性はいいものの,「低-中-高」の繋がりが不自然(ボーカル帯だけ浮き上がっており,全体として融和が撮れていない感覚)
・左右への音の広さはまずまずだが,奥行きが意外なほどに感じられない(BA型にあるような真ん中でこじんまりとなっているような感じは受けないが,広がらない不思議な感覚)
といったところでしょうか?
しかし,取って出しでエージング後の「MOMENTUM True Wireless」の解像感を超えているのには驚きました。
しかし,その部分だけが強調されると,逆に弱点になってしまうのもこの世界。
「大いなるポテンシャルは感じるものの,同様の危なっかしさも感じる」という,これまでに経験したことのないような第一聴…。
大いなる難しさを感じた,取って出しの音質チェックとなりました。
エージング効果はあるのか?
正直,その解像度の高さからいってエージングなしでも音楽として成立していることに驚きました。
特に高音部の解像感を最重要視しているユーザーであれば,この段階で「あり」とする人もいることでしょう。
しかし,トータルの音質で考えると,非常にアンバランスさを感じさせられるイヤホンでもあります。
通常,ダイナミックドライバー機であれば,もう少し音の繋がりがあってもいいのかな…とも感じますし…。
さて,この「EAH-AZ70W」,果たしてエージングで更に化ける機種なのでしょうか?
現状から,
・高音部のシャリ付きがなくなり,
・低音が締まって艶や厚みが出て,
・全域の音の繋がりがスムースになり,
・音の奥行きが出てくるのであれば,
とてつもない機種になるかもしれません。
でもなあ…。
世の中そんなにうまくはいかないでしょうから,全体のバランスがどのように収まってくるかにかかってきますよね。
そもそも,この機種にエージング効果が見られるのか…という点も含め,しばらく鳴らしこんだ後の音が非常に楽しみになってきました。
おっかなびっくりですが…。
次回は注目のノイキャン性能について。
現時点では「???」のノイキャンです。意外なことに…。