A15チップで「TSMCとの蜜月」は終わるのか?
この秋に発売されるであろう「iPhone12シリーズ」は,コロナウイルスの影響でその発売時期の遅れが取り沙汰されています。
通常であれば「9月」に発売されるはずですが,今年度に限っては「10月〜11月」になることも覚悟しなくてはならないでしょう。
「iPhone12」に関しては,5G対応ということもあり「ビッグチェンジ」が噂されいていましたが,出回っている情報を見るに,「意外に変更点は少ないかな?」とも感じるようになってきました。
「5G化」「ノッチ縮小」「更なるベゼル薄」「iPad Proのようなスクエアな筐体」等,まあ確かにそれなりの変化はあるようですが,期待されていた「完全ノッチレス」「Touch ID内蔵ディスプレー」といった見た目や認証システムにおける根本的な変更は間に合わないようです。
「5G」に関しても,キャリア側の通信網構築が追いつきそうにもなく,iPhone11Proを使用している身としては,慌てて5G機に移行するメリットもなさそうです。
更に…。
「A14Bionic」に進化するであろうAチップは,これまでの「7nmプロセスルール」から「5nmプロセスルール」へと更なる高精細化が図られるようですが,2021iPhoneでは一気に「3nmプロセスルール」への移行が有力視されています。
この「3nm」は,性能的にも大きく向上するということで,「5nm」の立ち位置が今から危うくなっている印象も受けます。
果たして「iPhone12」は売れるのか?
今年は「iPhoneSE」の投入もありましたので,今後のiPhoneの販売動向に注目が集まる2020年です。
さて,そんな中…。
その2021年の「3nm」構造Aチップを製造するメーカーに関して,異なった情報が飛び出しています。
これまでの「TSMC」との蜜月が続くのか?
それとも「Samsung」が巻き返すのか?
Samsungの信頼回復はあり得るか?
皆さんご存知のとおり,「iPhone6s」に搭載され,SamsungとTSMCの2社が製造した「A9チップ」において,Samsung製のチップが性能的にもバッテリー消費効率的にもTSMC製よりも劣っている…という衝撃的な事実が発生しました。
それ以降,AppleはAチップの製造をTSMCに委託し,「Aチップ全盛」の礎を築き上げたことはいうまでもありません。もはやスマートホンの「チップ性能」という面では,他の追随を許さないほどにまでなっているのが現実です。
各種新技術の投入ということに関してはAndroid機の後塵を拝することが多くなってきたiPhoneですが,こと「マシンパワー」という点においては盤石ですね。
まあ,そのパワーを上手に使っているのか…と問われれば,甚だ疑問は残るわけですが…。
さて,記事によると,「3nmプロセスルール」の生産過程においては,SamsungがTSMCを先行しているとのこと…。
しかし,対するTSMCもすでに3nmの生産に向けて動き出しているようです。
さて,Samsungの一発逆転はあるのでしょうか?
TSMCを切って捨てることはあり得るのか?
個人的には,「TSMCとの関係はそうたやすく切れるものではない…」と考えます。
というか,「考えたい」と言うべきか…。
何しろ,iPhoneの基本性能をここまで安定して支えてきたのがTSMCであるという事実があるわけで,もし2022年時点でもSamsungが多少有利だとしても,
「そんなにたやすく目先の優位性に飛びつくものだろうか?」
という思いが強くあります。
しかし,あくまでもビジネスに徹するというのであれば,Samsungの乗り換える可能性もあるわけで…。
この業界における「義理人情」がどの程度通用するものか,注目したい点でもあります。
しかし…。
TSMCだって,手をこまねいているわけではないでしょう。
現時点では多少の後れを取ってるかもしれませんが,これまでのAチップ生産のノウハウで,一気に技術的にSamsungを逆転するという構図も考えられます。
Appleという「金のなる木」をたやすく手放すわけにはいかないでしょうから…。
更に…。
Appleとすれば,以前のTSMCとSamsungとの2社生産に立ち戻るという選択肢もあるはずです。
もちろんチップ性能の片寄りという,前回の失敗は絶対に繰り返すわけにはいきませんが,万が一のリスク管理の面を考えると,この「2社体制」は悪い選択肢ではないはずです。
さあ,どうするApple?
個人的には…。
Samsungのチップは使いたくないなあ…。前回のことがありますので…。