どこまでできる? Apple Silicon
Appleから,正式に「AppleSilicon」に関する宣言が行われ,この先2年ほどを目処に「脱Intel」が図られることが明らかになりました(当面のインテルMacの生産とサポートの継続も発表)。
先日は,噂になっている「24(23)インチiMac」のApple Silicon化と,既存の21.5インチ,27インチとの関係について書かせていただきました。
どうしても気になるのです。
「Apple Siliconが,intelCPUを凌駕するほどのパフォーマンスを出せるのか?」
という点が…。
もし,いとも簡単にApple Siliconがintelを超えるのだとすれば,
「これまでintelとAMDが構築してきたCPUや,GPUメーカーの競争の歴史ってなんだったの?」
となってしまうのでは?
そもそも,WWDCまでは,「Apple Siliconの初搭載機はMacBookのような廉価版かつ低パフォーマンス機ではないか」とされてきました。
しかし,現在では「MacBook Pro13インチ」「iMac24インチ」からのスタートとする説が有力になってきています。つまり,いきなり「そこそこ」のパワーが必要とされる機種からスタートするというわけ。
24インチiMacの構成がどの様になっているかはわかりませんが,独立GPUが搭載されていないMacBook Pro13インチと,16インチやiMacとのパフォーマンス差は大きいわけです。Appleはこの「差」を埋める自信があるのでしょうか?
「A12Z」でも13インチProと同等
そんな中,Apple Siliconの今後を展望する記事も出始めています。
これまでのPCで主流だった「CPU+GPU」の構成ではなく,一つのチップ内に機能を凝縮させたAチップでおなじみの「SoC」型へと移行させることで,Apple流のPCを作っていこうとする動きのようです。
記事内でも紹介されていますが,現行の「A12Z Bionic」でも,すでにMacBook Pro 13インチに使われている「第10世代Core i5(クアッドコア、クロック2.0GHz)」と同等以上の性能が出ているようです。
つまり,独立GPUが搭載されていない,MacBook Air,13インチProレベルは,もうすでにクリアしているということ。
問題はその先ですね。
記事では,
より熱設計に余裕があり,サイズが大きいデスクトップや16インチ版MacBook Proのような製品向けには,CPUコアを増やしたりGPUのコンピューティングユニットを増やしたりして,高いパフォーマンスにしていく可能性が高い
としています。
理屈はわかります。
しかし,多Core化が進んだり,搭載メモリ量が増加の一途をたどる現在のPC界に殴り込み,ハイエンドiMac,iMacPro,ひいてはMac Proに匹敵するだけのApple Siliconを,今後2年で生産できるようになるものでしょうか?
確かにこれまでのAチップの性能向上は眼を見張るものがありますが,ここから先の性能アップは加速度がつくほどの急激なものになるはず…。個人的にはなかなか厳しいと思うのですが…。
TSMCとの協力が命綱?
これまでのAチップの歴史をたどれば,性能向上に欠かせないのが「チップの高精細化」でしょう。今後,「5nm」「3nm」へと,そのプロセスルールが進化していくようだ…ということは,生産元のTSMC関連の情報で漏れ伝わってきます。
しかし,高精細化だけで,Mac Pro級のモンスターパフォーマンスが実現できるものかな…?
それとも,Appleはとっておきの「隠し玉」をもっているのでしょうか?
大いなる謎に包まれている超高性能Apple Siliconの行方ですが,生産の歩留まり等,今後もAppleとの関係を深めていくであろうTSMC側の動向が鍵を握っているという面もあるはず。
Appleの思惑通りに「Apple Silicon化」が進んでいくのか?
ハラハラの2年間が始まることになりそうです。