大物ドラマはさすがの存在感
コロナウイルスの影響で放送が延期になっていた「4〜7月期」のドラマが,ようやく始まりました。
このクール,本来であれば,オリンピック期間中にじっくりとした対策に取り組むことが難しい各局が,社運を賭けてセッティングした「大物ドラマ」が乱立していました。
「半沢直樹」「BG 身辺警護人」「ハケンの品格」。どれもが第一シーズンでは大きな話題を呼んだ作品のセカンドシーズンです。
この中で,半沢直樹は7月19日開始と,思い切って1クールずらしてくる戦略のようです。対する「BG」「ハケン」は,6月中旬から開始と,「なるべく早く放送を…」という考えのようですね。このあたり,TBS,テレ朝,日テレの今後のスケジューリングにも影響してくることになりそうです。
さて…。
2回目までの放送を終えた「BG」「ハケンの品格」を観て感じたのは,
「やはり大物ドラマのセカンドシーズン。雰囲気がある!」
ということです。しっかりとした世界観がすでに構築できており,制作側に迷いがありません。加えてキャスティング,脚本とも,ドラマの世界観をうまく表現することに成功しているように感じます。
この時点で,「並のドラマ」とは違います。
しかし,私には「BG」の完成度がひときわ輝いて見えます。恐らく視聴率も堅調に動くのでスは?
対する「ハケン」は,今後視聴率が低下していくのでは…と考えます。
世界観,ストーリーが秀逸な「BG」
セカンドシーズンの「BG」は,「日ノ出警備保障」を吸収した「KICKS」のやり口に反発した嶋崎(木村拓哉)が独立し,それに応じて高梨(斎藤工)が嶋崎の元へやっくるという展開で2話を終えています。
ファーストシーズンに対し,「対KICKS」という縦軸を通すことで,嶋崎らの「正義」が際立つ展開となっており,まずもってドラマの世界観が完全に成立しています。
また,決して嶋崎らのアクションシーンがメインというわけではなく,ボディーガートの心情とその仕事ぶりがクローズアップされていることにより,「警護」を実に渋く描く大人のドラマに仕上がっています。
珍しく,「キムタクの存在そのものが主人公になっていない」という,キムタク主演ドラマには見られない希有なドラマになっているのです。
また,警護対象者の抱える心の闇の描き方が実に巧みで,嶋崎らがそれらに寄り添い,警護を通して警護対象者の心を解きほぐしていく過程も,見ていて実に心地いいものです。
こう言っては失礼かもしれませんが,テレ朝にしては実に本格的なドラマになっており,近年まれに見る骨太なドラマになっていると考えます。
今後は,「KICKS」に残った菅沼(奈々緒)や沢口(間宮)も嶋崎らの考えに賛同し,KICKSの瀏(仲村トオル)と対決していく展開になるものと予想されます。
「半沢直樹」に対抗できるとすれば,「BG」一択だと考えます。
時代遅れの「ハケンの品格」
一世を風靡したファーストシーズン。
驚いたのは,その世界観がセカンドシーズンでも全く変わっていないことです。
しかし,もはや日本の企業体質も変化し,さすがにあの当時のままでは大きな違和感しか感じません。
ドラマの中で,
「派遣の分際で…」
「派遣なんかに…」
という台詞が乱れ飛ぶわけですが,違和感以上に嫌悪感を感じてしまいます。今時,そんな言葉を平気で使う会社が存在するものでしょうか?
確かに大前春子のキャラは際立っていますし,世界観,ストーリー展開の爽快さはありますが,あまりにファーストシーズンから変化がありませんし,先に述べた「ありえない」ドラマの世界観の中でストーリーを展開されても,心に響くものがないのです。
日テレは,何故「現代に合わせた大前春子像」を描かなかったのでしょうか?
明らかに日テレの大失態だと感じます。
恐らくは,今後視聴率は下落の一途を辿ると考えます。
違和感や嫌悪感を感じさせるドラマが成功した例は,近年においてはないのでは…?