「AppleSilicon Mac」のベンチマーク,どう見る?
WWDC2020では,今後のMacが「Apple Silicon化」するにあたり,アプリ開発を行えるように,Appleが開発者向けに開発者移行キット(Developer Transition Kit)を提供することが発表されました。
MacMiniに「A12Z」を搭載したこのキット。
早速そのベンチマークスコアが公表されています。
「健闘」と見るか,「不安」と見るか?
今後の展開に関しては「不安」も残ると思うのですが…
まずもって,今回のベンチマークは,Geekbenchソフトウェアが現段階ではまだAppleシリコン向けに最適化されていないため,AppleのRosetta技術を用いて従来のアプリを仮想化して動作させているということを前提といているということが重要です。
記事では,一部の開発者の言葉として,
「25%〜40%程度のパフォーマンス低下を導く」
と推測されるとしている「Rosetta2」ですので,もちろん本来の実力を考えるのであればその分のかさ増しをしてやる必要があります。
まずはベンチマーク結果。
シングル値が目立って低いのは,「Rosetta2」の劣化分でしょうか?
エントリーレベルのMacBook Air(2020年)のシングルコアは1,005,マルチコアは約2,000という数値から,このデータを見る限りでは,「A12Z」はMacBook Airと同等のスペックを生み出すことになります。
まだ最適化されていない…,「Rosetta2」の劣化分を考慮すれば…,次期「A14X改良版」ではもっとパフォーマンスが上がるはず…,未だAチップをフル稼働させるような仕様になっていない…等,多分に伸び代はあるApple Siliconではありますが,どうでしょう?
私は「本当にこのままで全てのMacを置き換えることができるのか?」と不安になりました。
現状は下位機種限定のApple Siliconなのでは?
理由は,やはり前回の記事と同じところに帰結します。
「未だ開発段階」とはいえ,今年中の発売を見込んでいるApple Siliconですので,相当チューニングは重ねてきているはず。恐らくは「A12Z」から「A14XのMacバージョン」へと世代を移行させて搭載してくるでしょうから,その分の性能アップはみこめるのでしょうが,現状のターゲットが「MacBook Air」「MacBook Pro13インチ」程度なのであれば,当然「16インチ」や「27インチ後継iMac」のユーザーが要求するパワーは生み出せないと予想します。
独立GPUを搭載したMac程度のパワーを,本当にあと2年で手に入れることができるのでしょうか?
iMac ProやMac Proの領域にまで?
私は難しいと思うんですけど…。
以前にも書きましたが,そんな芸当ができるのだったら,
「これまでのチップメーカーの努力って一体何だったの?」
という展開です。
でも万が一本当に実現させてしまったら,「Appleの天下」がやってくるかも…。私はそのくらいものすごいことだと思うのですが…。
逆に言えば,だからこそ「不安」が勝っている…ということです。