脱中国を加速化させるApple
今回のコロナ騒動で,Appleが甚大な影響を受けたのは,生産の拠点を中国に集中させていたこと一点に尽きます。
折しも,ベトナム等の国々に生産を移行させようと計画していた折に発生した今回のコロナ騒動。Appleからすると最悪のタイミングだったのかもしれません。
そう考えると,このタイミングが,Appleにおける「生産システム」を再構築する上での絶好の時期と考えることもできます。
今回は,「脱中国」「Apple Silicon」という2つの観点から考えていきましょう。
インドにiPhone組立工場?
記事によると,
Bloombergは,Appleの委託製造業者のPegatronがインドに進出し,iPhone組立工場を建設する計画があると報じている。iPhone委託製造業者のWistronやFoxconnは既にインドに進出しており,Pegatronが後を追う形となる
ということです。
これまでは,旧iPhoneSEなどの旧モデルを中心にインドで生産を開始している…という情報もありましたが,今後は最新機種の生産も手掛けるようになるのでしょうか?
記事中には,iPhone生産の「最大20%」を中国からインドに移行させるという表記もありますので,いよいよAppleは本気のようですね。もちろんインドのみの話ではなく,今回の「脱中国」の動きは他のアジア諸国へと広がってくことが考えられますので,Appleとしては「生産拠点の分散化」を図ることで有事対策としたいのでしょう。
生産を起動に乗せるためにはもうしばらく時間が掛かるかもしれませんが,できるだけ迅速に動くことが,Appleにとっての題名台のように思えます。
ますます深まる? TSMCと関係
もう一つの方向軸として,これまでAチップの生産を請け負ってきた台湾の「TSMC」との関係性も気になります。
スマホ業界においてiPhoneが絶対的な強みを見せているのがチップ性能。ここだけはiPhone誕生以来,「死守してきた」という印象を受けます。
そして,その「チップパワー」に大きく影響を受けそうなのが,Macに搭載される「Apple Silicon」です。
Apple Siliconにおいて現状懸念させているのが,「OS,アプリ,周辺機器等との親和性」と「マシンパワー」。特に後者においては,
「Appleが言明した"2年"というタイムリミット内で,本当にintelCPUを超えるだけのパフォーマンスを保証できるのか?」
という大いなる疑問が伴います。
これを解決する上では,チップの高精細化という部分でダントツの技術力をもつTSMCの力が欠かせないはず。
ここ最近の情報では,Samsungもこの分野での介入を狙っているという話も聞きますし,AppleとTSMCの関係性も,数年単位の受注契約を行いながらここまで来ているという状況のようですので,AppleとTSMCとの蜜月が「絶対的なもの」だとはいえないということを念頭に入れておく必要がありそうです。
しかし,双方が互いの関係性を「最重要」と考えていることは事実でしょうし,特にAppleからすれば,Apple Silicon化への踏ん切りは「TSMCありき」でつけたものだと思われます。他のメーカーとのタッグで,これまで以上のチップ性能を生み出す…という想定には無理があるように思えますので。
今後は,「Apple単独」としての成長戦略ではなく,これまで以上に他の部品製造メーカー,諸外国との関係性が重要になってくるのかもしれません。