スチル機としては「完璧」ともいえるR5
8月上旬の二次出荷分に何とか引っかかり,手に入れることができたCanon「EOS R5」。
手ぶれ補正は,メーカー公称の「8段」はさすがに効きませんが,それでも4段程度は常時効いてくれています。「RF50㎜ f1.2」で「1/6」程度までは安定して効きますので,この手の明るいレンズでは,絞り値とISO感度を調整することで,手持ちでの撮影の幅が大きく広がることになります。
高感度の耐性も,以前のRPよりは確実に進化しており,「撮影の自由度」という観点においては,隔世の感を受けます。
また,4500万画素のパワーも格別です。
細かな描写の風景写真でも,多人数の集合写真でも,何の迷いもなくA3レベルの印刷を選択することができます。
また,トリミング耐性もかなりのものですので,大胆な切り出しをしてプリントすることもできます。「後で何とかなる…」という安心感は,私のような素人には大きな力です。
そして…。
各種レビューでも絶賛させているAF性能…。
動きもの以外の撮影においては,以前のRPにおいても「デュアルピクセルCMOS AF」のピント精度の高さには舌を巻くほどでした。当然R5でもその信頼は揺らぎません。特に「50㎜ f1.2L」と組み合わせたときに,フォーカスエリア全域において1.2解放でも完璧にジャスピンする様子は,感動的ですらあります。
「RF24-70L」では,中央部では完璧な描写をするものの,周辺部でピントを合わせると大きく解像度が落ちてしまいますので,RFシステムを完璧に活かすにはL単が必要だと考えるようになりました。早く「RF35㎜L f1.2」を出していただきたい!
さらに,今回のメインテーマですが,「動きもの」に対する追従は正に異次元です。
特に「瞳フォーカス」。追従の精度が半端ない!
正に「全自動」の瞳フォーカス!
私,RPを使用しているときには,その瞳フォーカスの精度があまりに怪しく,使用しておりませんでした。まあ,動きもの自体をあまり撮る方ではありませんので,それで事足りていた…ということもあるのですが。
しかし,R5の瞳フォーカスは次元が違います。
先日,室内でかなり激しく踊る子ども達の様子を撮影する機会があったのですが,かなりの精度でジャスピンです。「R5 + EF70-200f4L(コントロールリング)【1/500,ISO2000】」といった感じの撮影だったのですが,撮影そのものも,そして画像の品質も全く問題なし。
ここで感じたのは,
「全自動やん!」
ということ。
撮影者が注意するのは,「フレーミング」だけ。後は「瞳フォーカス+コンティニアス+連写モード」にしてシャッターを押し続けるだけです。
ジャスピンの画像が,12枚/秒で出てくるわけですので,撮影後の画像確認をしながらニヤニヤが止まらなかったのはいうまでもありません。
これ,本当に撮影の「腕」関係なく,ある程度の写真が誰でも撮れる…というカメラです。時代は変わりました。明らかに先代までの一眼とは,ステージが異なります。そして,恐らくはこの感覚がスタンダードなものになっていくのでしょう。
「一眼離れ」が叫ばれるカメラ業界ですが,現在スマホのカメラで満足している方々がこの「楽ちんさ」に気付けば,再浮上できるほどの変革なのでは…と考えたりします。
天敵は「マスク」
このように,完璧とも思える瞳フォーカスですが,弱点を抱えています。
それは,「マスク」。
マスクを付けている状態で瞳フォーカスを効かせると,明らかにフォーカスが迷っているのが分かります。
「人間の顔」の中から「瞳」を認識をするアルゴリズムの中で,恐らくは鼻や口等,瞳以外のパーツとの位置関係で瞳を認識しているのでしょう。鼻と口が覆われてしまうマスクが,AI処理を邪魔していることは明らかです。
シャッターチャンスを逃さないためにも,その場の状況に応じた方法を選択しておくことが必要だ…という点では,R5がいかに優れたカメラであるにしても,それを操るのは人間であるという認識をしっかりもっておく必要がありそうです。