カスタム/CUSTOM/でいこう😎

50おやじが,お気に入りについて気ままにつぶやくページです。

坂木司「アンと愛情」レビュー〜こんな時代だからこそ,正統派の「成長記」がほっとする!〜

坂木司「アンと愛情」読了!

 先日ご紹介した,坂木司さんの「アンと愛情」を読了しました。

f:id:es60:20201025131320j:plain

f:id:es60:20201103152044j:plain

 その際にもご紹介したとおり,細かな章立ても,大まかな内容もすでに光文社のHPで紹介済でした。

 シリーズ第3弾とあって,「和菓子の謎解きを基にした人情話」であり,「アンの成長記」であることは明確。そのホッコリとした世界観に浸りたい…という方も多かったはず。

 さて,第3作目の出来映えはいかに?

 

アンの成長が頼もしい! 「みつ屋」のメンバーにも変化が…

 まずもって,前回の記事でも紹介した,各章ごとの大まかなあらすじを再掲載。

【収録作品】

甘い世界
成人式が迫る中,振り袖選びに後ろ向きなアンちゃん。でも。しぶしぶ向かった呉服店で,少しだけ勇気をもらいます。いっぽうお店には,「宇宙を表現した和菓子」を求めるお客さんが。え? 宇宙?

こころの行方
バレンタインの催事場ブースのために,「みつ屋」空港店から応援スタッフが派遣されてきました。アンちゃんと同い年のそのスタッフ・桐生さんの鮮やかな仕事さばきに圧倒されるアンちゃんでしたが……。

あまいうまい
友だちと三人で金沢旅行に向かったアンちゃん。柏木さんの実家『柿一』にも寄って,名物の「巻き柿」を食べてみたいと思ったのですが……。

透明不透明
同世代でなれなれしい男性客の来店に警戒心を隠せないアンちゃん。でも,彼が持ち込んできたのは,とても真摯で,しかも難しい謎かけでした。

かたくなな
椿店長の様子がおかしい。理由をあれこれ想像するアンちゃんだったが,「日本ならではのお菓子」というお客さんの要望が,意外なほど難題で……。

ほか掌編二編も収録しました。
盛り沢山です!

 

 まあ,この粗い説明書きが,読了後には実にしっくりくるわけで…。
 読了後ですが,各章ごとの細かな内容に関しては,敢えて書かないようにします。

 しかし,これまでの「アンと〜」シリーズに共通で,各章ごとに描かれる「和菓子の謎」があり,それが登場人物の生き様に実に上手にリンクしてくる…。「お決まり」といえばお決まりなのですが,ほっとできる終着点を用意してくれているため,読了後に爽やかな気分を味わえることは相変わらず。

 また,今回は,これまで以上に主人公のアンこと「杏子」の成長が見られることも,シリーズものの醍醐味として感じられます。
 二十歳となり,未だ様々なことに迷っている杏子ですが,それでも和菓子屋「みつ屋」の店員として,東京百貨店のデパ地下という環境での人間関係の中で,以前の2冊よりも視野が広がってきているのを読み取れます。

「和菓子屋の仕事とは…」
「和菓子とは…」
「自分の将来は…」
「周囲の人の生き様をどう考えるか…」
「和菓子を通したお客様の思いとは…」

など,実に多様な事柄に悩む杏子から,その成長を読み取れるわけです。

 自分の甘さを認識しながらも,必死に前を向こうとする杏子からは,誰しもがパワーをもらえるはずです。

 

もはやシリーズ延長確実!

 今回感心したのは,各章のタイトルが,実に見事にそれぞれの章の内容とリンクしているということです。
 登場人物の心の中と,和菓子の特徴とを,よくぞここまで表現している…と感心させられます。各章を読み終え,再度章のタイトルを確認して「にんまり」…ということを繰り返しながら,読了まで一気に辿り着くことができる,お薦めの一冊となっています。

f:id:es60:20201025131931j:plain

 さて,もはや第4弾の刊行は確実です。
 詳しくは書きませんが,最終章で,東京百貨店の「みつ屋」の人事に大激震が…。

 次作はどう考えても「その後」を描かざるを得ない展開になっております。
 新しい出会いの中でさらに成長する杏子…。
 第4弾のテーマはそんなところでしょうか?