アプリが動かなければMacもただの箱…
Macの歴史が変わる…ということで,「M1チップ」搭載のMacについて考えております。
ここまでは,「Apple Siliconのバリエーション」「互換性」ということについての懸念を書かせていただいております。
今回は,同じ互換性の中でも「アプリの互換性」について別枠で取り上げたいと思います。
Macは当然ながら,アプリが動かなければただの「箱」。
Appleがいくら「M1チップ」の高性能を謳っても,これまで同様アプリが高速で動作しなければ,全く意味が無いのです。
そして,Mac最大の弱みが,純正アプリの力不足と,各種アプリのMacへの対応が万全ではないことです。
まあそれでも,MicrosoftやAdobe等のメジャーどころはMac対応になっていますし,macOS専用の優れたアプリもありますので,これまではそれほど悲観する必要もありませんでした。
いざとなったら「Parallels」を使っての仮想化もできますし(100%完全ではありませんし,処理速度も落ちますが)。
しかし,「M1チップ」搭載の「AppleSilicon Mac」では,これまでのIntel Mac対応アプリは動作しないようです。
安心してビジネスに使えない…。これではPCとしては致命的なのですが…。
MacOS Big Surの登場でiOSアプリとの連携は深まるが…
先日登場した「MacOS Big Sur」の登場で,「M1チップ」搭載Macでは,iOSやiPad OS上で動作するアプリが動作するというユニバーサル化が,いよいよ本格的に動き出しそうです。
本当に全てのアプリが動作するのか,また,Apple Pencilに対応するiPad OSアプリなどは,Mac上ではどのように動作するのか…等,疑問は多く残っていますが…。
しかし,Macをビジネス用途として活用したり,Adobeアプリを使用して映像や画像の編集に重きを置いている場合,アプリ側が「M1チップ」に対応してくれないと,にっちもさっちもいかない状態になることは必至です。
個人的にはCanonのDPPが動いてくれないとどうにもなりません。
もちろんApple純正のアプリは大丈夫でしょうが,それだけではどうにもならないことは,悲しいかな明らかです。ここがAppleのアキレス腱ですね。
そんな中,MicrosoftのOfficeが,「M1チップ」対応に向けて動き出した…という記事が出ていました。
しかし,未だ対応に向けた最初のバージョンだということで,実際に製品化されるには,それなりの時間がかかりそうです。
また,Adobe lightroomは来年の対応予定…という情報も見かけましたが,iPad OS向けのIllustratorの対応などを見ると,どうも迅速さを感じません。lightroom,Premiere,Photoshop等の代表的なアプリが早々に対応してくれないことには,なかなか「M1 Mac」を購入する勇気が湧きません。
更に気になるのは,仮想化アプリ「Parallels」。
Intel Mac向けに関しては,すでに「MacOS Big Sur」対応の最新バージョンがリリースされていますので問題ありませんが,果たして「M1チップ」上で仮想化アプリが走るのか…ということは今後大きな問題になってくるでしょう。
Windows環境から移ってきた私としては,「お守り」としても絶対必要です。実際,Mac未対応のアプリを主力として使用している分野もありますので。
「Rosetta 2」の本当の実力が早く知りたい!
Appleとしては,Intel対応アプリをエミュレーションモードで動作させる 「Rosetta 2」の存在をアピールしています。
しかし,これまでの各種ベンチマークの結果によると,「Rosetta 2」下での性能は大きく低下することが明らかになっています。
合い言葉のようになっている,「M1チップの性能はMacBook Pro16インチを凌駕している」の本当の意味合いは,
「M1がネイティブで動作している状況下では…」
という条件付きです。
各種アプリのネイティブ化ができるだけ早く進むことが求められます。
できればParallelsもネイティブ上で…。
だって,性能が低下した「Rosetta 2」上で動作する仮想化Windows環境なんて,あまり考えたくありませんから…。