Samsungの寡占状態解消に向けて…
スマートホン業界で,Appleの最大のライバルであるSamsungに対し,そのディスプレイ生産を依存している…。Samsungにしてもまたしかり…。
なんとも異様な状況が続いていますね。
何かと「自社開発・自社生産」にこだわりを見せる昨今のAppleですが,こと「ディスプレイ」となると,どうしてもSamsungとの関係が切り離せないようです。
先日も,数年先の発表が噂されている「折りたたみ式iPhone」に関して,やはりSamsungのフレキシブルディスプレイを利用するようだ…という記事をご紹介しました。
それでも今年のiPhone12シリーズでは,「LG」比率を増やしたようですが,以前Samsung依存の構図は変わらず…。
そんな中,これまで何回も噂に上っていた中国「BOE」のOLEDが,ようやくAppleの厳しい審査に合格したようです。
噂通り,前倒しでの採用か?
記事によると,
中国メディアCnBetaが,中国BOEは2020年12月からiPhone12シリーズ用有機EL(OLED)の供給を開始したと報じている。BOEはこれまで,AppleによるOLEDディスプレイパネルの品質評価試験に合格することが出来なかったと伝えられていた
ということです。
「BOE」に関しては,本来であれば,iPhone12の初期生産からOLED供給を期待されていたようですが,どうしてもAppleの厳しい審査に合格できていなかったようですね。
しかしその後,一転して中途からの供給を報じる記事も出ておりました。
本来であれば,iPhone12用の審査に落ちた時点で,「採用はiPhone13から」とするのが自然でしょう。生産ラインも決定している状態でしょうから…。
しかし,Appleが「追試」をしてまでBOEにこだわるからには,それ相応の理由があるはずです。
その理由としては,
①大前提として,Samsungの独占となれば,万が一Samsungの生産に問題が生じた際にiPhoneの生産が止まってしまう
②(以前の噂では)LGの歩留まりが上がってこない
③iPhone12の売上が非常に好調で,生産数を増やす必要性が生じた
というところでしょうか?
「③」に関しては,明らかに要因として考えられるでしょう。
様々なメディアが,iPhone12シリーズの絶好調ぶりを伝えており,出荷台数も記録的なものになっているとか…。
予定していたSamsungとLGの生産ラインを増強することは簡単ではないでしょうから,単純に「新しい生産者」を加える…という選択を行うことは自然だと思います。
また,「②」に関しては,記事中の資料を見ると微妙なところですね。
一応はLGも2020年→2021年に「倍増」の予定です。
本来はより多くの生産をAppleが期待していた…ということも考えられますが,こればかりは判断が付きかねますね。
ディスプレイシェアにとって重要なこの先数年
いずれにせよ,本来は2021年のiPhone13用として考えられていたBOEの生産ラインを,半年以上も前倒しして活用するということですので,何かしらの変化があったことは間違いがないでしょう。
BOEがiPhone生産に加わったことで,今まで以上にディスプレイ周辺がきな臭くなってきた印象を受けます。
OLEDが「標準」となった今,当然各メーカーは「次世代」を見据えているはず。
「MiniLED」「MicroLED」等の先端技術をリードするのはどの企業なのか?
はたまた,「折りたたみスマホ」等の新デバイスに対応するディスプレイにおいて勢力を伸ばすのはどの企業か?
この先数年が,ディスプレイ生産メーカーにとっては「勝負どころ」となりそうです。