「SONOS Five」は「SONOS One」「Home Pod」を越えるか?
昨年の9月30日,SONOSから,「Sonos Play:5」の後継機として「SONOS Five」が発売されました。
当初は静観していたのですが,ネット上のレビューがすこぶる良好で,どうしても自分の耳で確認してみたくなってきました。
私の書斎のスピーカー環境としては,Pro Display XDR横にYAMAHA「NX-N500」を,背面に「SONOS One + Home Pod」を設置しています。
動画視聴やじっくりと音楽に浸る場合には「NX-N500」,ゆったりとした聴き流しには「SONOS One+Home Pod」という役割分担がしっかりとできていますが,現在は「SONOS One + HomePod」のサラウンド的な音が非常に心地よく,音質もそこそこいいため,こちらの方が断然主力になっております
この,「SONOS One + HomePod」という環境に行き着くまでの紆余曲折については,以前の記事をご参照ください。
今回の「SONOS Five」購入で期待することとしては,次の2点です。
①「SONOS Five」1台で,「SONOS One+Home Pod」の役割を担えるか?
②「Home Pod」の部分を「Five」に置き換えることは可能か?
①に関しては,2台による接続も可能な「Five」1台で,どこまでできるか…ということがが気になります。「Five」は,2台接続時にステレオ再生ができるのは当然,1台ですと本体内のスピーカーが自動で左右の役割を分担し,ステレオ再生になるのだそうです。
値段的には「SONOS One」の2台分よりも高額ですので,果たしてどうなることか?
②に関しては,「SONOS One」の低・中音域の弱点を補い,ボーカル帯の「厚み」を,Home Podが実に上手にカバーしてくれているわけですが,この部分を「Five」が担ってくれるか…ということ。
さて,実際に試して見ましたよ。
「1台」ではステレオ感,サラウンド感が希薄…
まずは「Five」1台でのお試し。
もし1台で「SONOS One + Home Pod」の役割を担ってくれるのであれば話は簡単で,AirPlayによる2台接続というやや煩わしい環境から脱却できることにもなります。
稀に「SONOS One」が接続されなかったり,1台からしか音が出なかったり…ということが発生しますので(何かしらの設定を変更したときは要注意)。
結論…。
ダメです!
1台では,全くステレオ的な音の広がりが再現されません。
当然本体内ではステレオ再生されているわけですが,左右に2台を広げて設置する「SONOS One」「Home Pod」から比べると,音場の狭さが異様なほどに目立ってしまいます。
私の書斎は,「Five」を2台設置するだけのスペースがありませんので,「Five」2台でのステレオ再生は試すことができませんが,「1台」のステレオ再生には限界があることがはっきりしました。この点,要注意かと思います。
また,「Five」の音質ですが,ボーカル帯の中音域だけが目立っている印象。
この点もステレオ感が薄くなる要因だと思われます。もう少し「低・中・高のバランス」や「音の広がり」のチューニングを考えてみる必要があるのでは…というのが正直な感想です。
また,「Five」を聴いて考えたのは,「SONOS One」の優秀さです。
2台で4万5000円程度で購入できるわけですが,通常のスピーカーよりもサラウンド感がある独特の響き,瑞々しく解像感のある音は,「ある程度の音質で心地よく聴きたい」という要求を完全に満たしてくれます。
「SONOS One + Home Pod」の完全勝利!
さて,「Five」1台では物足りなかったわけですので,後は「複合作戦」ですね。
現状の「SONOS One + HomePod」の環境がこちら。
前述しましたが,「SONOS One」のステレオ再生だけでは,「低・中音域」の厚みの部分に若干の弱点があります。煌びやかな高音が若干目立ち,もう少し落ち着きが欲しくなるんですよね。
AirPlayで2台同時再生するわけですが,その際,Home Pod側の音量をSONOS Oneの半分程度に絞ってやることで,Home Podの低音のボワツキが抑えられ,非常に心地いい音を楽しめています。極上です!
さて,その「Home Pod」の部分を「SONOS Five」に置き換えてみましょう。
こんな感じになります。
さて,肝心の音なのですが…。
う〜ん,微妙です。
欲している「低・中音域」の厚み部分が,「Five」特有のこもった感じに聞こえてしまい,「濁り」を生み出してしまう…という印象。
更に痛いのは,「サラウンド感」が消失してしまうということ。
恐らくこれは,「Five」の音にサラウンド感が薄いということと,「Home Pod」の極上のサラウンド感との「差」が大きいことに起因するものと考えます。
「Five」を混ぜて聴くと,非常につまらない音になってしまうんです。
結論!
「SONOS One + Home Pod」の優勝です!
それもダントツで!
単独で聴くと,そのあまりの低音の強さが悪目立ちする「Home Pod」ですが,元来音の素性は悪くありません。それに加え,全方位に広がる空間表現は,従来の2スピーカーには到底真似できない離れ業。
これを「SONOS One」に「控えめ」に添えてあげることで,1機種ではなしえない絶妙な音がつくられる…ということなのでしょう。
そもそもこの組み合わせは,「Home Pod」購入後に,その低音過多な音質に困り果てて辿り着いた,所謂「棚ぼた」なのですが,ひょっとしたら私はとんでもないお宝を発見していたのかもしれません。
と,今更ながらに現状のシステムを再評価する結果となりました。
皆さん,「SONOS One + Home Pod」の組み合わせ,本当にお薦めです。
また,「Five」を購入するよりだったら,「SONOS One」2台でのステレオ再生で,100倍幸せになれます。
というか,私のような妙なこだわりが無かったら,「SONOS One」2台で本当に十分だと思いますよ。
後は「Five」2台でのステレオ再生ですね。
ひょっとしたらとんでもない音になることも考えられます。私には試せませんが,どなたかチャレンジしてみてはいかがでしょうか?