評判の高いFALCON PROの音質は?
NOBLE「FALCON PRO」のレビューしております。
前回は,「開封,ペアリング,フィッティング編」をお届けしました。
純正のイヤーチップでバッチリフィットするという,私にしては珍しい結果になり,しかもパッシブでの遮音性の高さが非常に優秀だということも判明しました。
「これで音質も満足だったら,ノイキャン機はいらないかも…」
という気にもさせてくれる「FALCON PRO」。
それでは肝心の音質評価に行きましょう。
解像度,分離感は高いが,ハイブリッド故の限界が…
音楽を聴いてまずもって感じるのが,解像度・分離感の高さです。
音の輪郭がはっきりしているため,一つ一つの要素をしっかりと聴き取ることができます。フラットな音質とも相まって,モニターライクな音質としてまとめることができるでしょう。
非常に似ていると感じたのが,AVIOTの「TE-BD21f」。
思い起こせば,このイヤホンも,ダイナミックとBAとのハイブリッドタイプでしたね。今回の「FALCON PRO」も「2BA+1DD」というハイブリッド機ですので,やはりシステムの違いが音質に如実に現れるのだな…と妙に感心してしまいまた。
それはさておき…。
前述した「モニタライクでフラットな音」を好む方であれば,本機を購入しても後悔はしないでしょう。
しかも,パッシブでの遮音性が非常に高いとともに,その状態で音質への悪影響がありません。これまでの機種であれば,遮音性を高めるためにイヤーチップを押し込むと,高音側が潰れ,低音側がもりもりになる…ということもしばしばだったのですが,その心配が全く必要ないことは,本機種の魅力の1つでもあります。
しかし,散見される,
「5万円クラスの有線イヤホンにも迫る音質」
という意見には同意できません。
その最大の要因が,
「ハイブリッドならではの弱点を克服できていない」
という点です。
具体的に言えば,ダイナミックドライバーが担う低音と,BAが担う中・高音との一体化が十分ではないということ。加えて,中・高音部の2つのBAドライバーの調整にも改善の余地があると感じました。
つまり,音を部分的に見たときに,一つ一つの音の素性は素晴らしいのですが,それらが合わさって「全体の音」として聴いた際には,どうしても「繋がりに不自然さを感じる」のです。
有線のマルチBA搭載モデルであれば,この部分の不自然さは当然解消されているものが殆どですので,ワイヤレスのマルチBAモデル,しかもハイブリッドモデルに関しては,発展途上という印象を受けました。
更に細かく言えば,
〇低音域の音がダイナミックドライバーの割にゆるく,弱い
〇BA搭載の割に高音の伸びが今ひとつ
〇ダイナミックドライバー機に比べるとBA機特有の音場の狭さが目立つ
〇音の臨場感,心地よさという部分ではダイナック機に遅れをとっている
という問題も抱えていますね。
せっかくのダイナミックドライバーの有効性があまり感じられないのは,前述の「TE-BD21f」も同様です。
BA機が強い中・高音域での解像度や分離感の高さは特筆すべきものがありますが,弱点ともなる「超高音域」がぷっつんと切られてしまう…という悪癖は,ワイヤレスである本機で目立つ結果ともなっています。
また,最近ダイナミックドライバーの機種ばかり聞いているせいか,BA機特有の音場の狭さが窮屈にも感じます。
ここはやはり,「BA機ならではの音質が好みかどうか」という部分が非常に重要だと感じました。
「ダイナクック機の自然な音の繋がり,ゆったりとした雰囲気が好み」
という方が本機を購入する際には,検討が必要かと思います。しかし,逆に言えば,
「ゆったりよりも,かっちりが好み」
という方は,ジャストフィットする可能性もありますね。
さて,私自身はどのように評価したらいいか…。
迷うところではありますが,当面のライバル「Elite85t」との比較を繰り返した上で,結論が出ました。
次回は「最終評価編」です。