神機の予感漂う中…
JBL 「CLUB PRO+ TWS」をレビューしております。
前回は「開封・ペアリング・フィッティング編」をお届けしました。
今回はいよいよ「音質評価編」です。
前回も少しお伝えしましたが,この 「CLUB PRO+ TWS」の音質,はっきり言って「2万円のイヤホンの音ではない」ことだけは確実だと言えます。
後は,私の好みに合うかどうか。そして,そのライバルはJabra「Elite85t」となります。
違う方向性の両機ですので,あくまでも私個人の見方…ということで進めて参ります。
解像度も高く,元気な音!
「CLUB PRO+ TWS」の音を一言で表現するならば,私だったら「元気な音」とします。
「Elite85t」が全体の調和を第一に考えられているのに対し, 「CLUB PRO+ TWS」は音の素材をストレートに聞き手に伝えようとする意思を感じるのです。
解像度は「Elite85t」よりも1段高いです。しかし,「FALCON Pro」のように音の一つ一つがキラキラと輝いていると言う感覚ではなく,あくまでもダイナミックドライバーのよさを生かし,音楽全体の解像度が高い…という感じ。
全体としてはフラット。「Elite85t」はやや低音寄りの音ですので,ここは明確に違います。フラットとはいえ,「FALCON Pro」のようにモニターライクな固い音ではないので,リスニング機としても十分に使えます。
加えて,全体的に大きな弱点がないため,非常にバランス良く,気持ちよく聞ける音。元気でメリハリのある傾向も含めて,
「元気な音が好みであれば,誰にでもお勧めできる高性能万能機」
だと感じました。
はっきり言って,イヤホン選びに迷っている方であれば,この機種を選択しておけば,まず間違いがないと言い切れるほどです。
それでも私は「Elite85t」を選ぶ
しかし,私が「CLUB PRO+ TWS」と「Elite85t」とを天秤にかけた後に出した答えは,「Elite85t」でした。
その理由は,「リスニング機としての適正」という視点を第一に考えたからです。
詳しく言えば,
①音のつながり
②低音の質
という点。
①に冠する部分では,両機を比較すると,「Elite85t」の「低音−中音−高音」の繋がりに全く破綻がないのです。音楽全体が実に自然に繋がっており,悪目立ちする部分がないため,音楽に浸ることができます。
「CLUB PRO+ TWS」も悪くないのですが,元気な音で耳にアタックしてくる分,どうしてもその部分だけが目立ってしまう印象があり,音場の安定感や定位という部分では「Elite85t」の方が気持ちよく聴くことができました。
「音楽に包まれている感覚」を優先するのであれば,「Elite85t」ということです。
②では,私の聴く環境(恐らくイヤーチップの種類で相当左右されます)では,明らかに「Elite85t」の低音の質が良好です。
深く沈み込みますし,加えて芯もしっかりとあるために,音楽全体のベースをしっかりと構築してくれます。
しかし 「CLUB PRO+ TWS」の低音は,細く深みが足りない印象。加えて芯が感じられないぼやけた感じ。「フラット」という意味で言えばこれで正解かもしれませんが,リスニングの要素を考えると,この低音の部分に弱点があるのかな…と感じます。
「Elite85t」は, 「CLUB PRO+ TWS」に比べると解像度では劣り,突出した部分はないのかもしれません。しかし,良質な低音を下支えにした音楽全体の臨場感がとにかく素晴らしい。
もはや完全に好みの部分ですが,私は「Elite85t」を選択しました。
逆に言えば,そこまで「リスニング傾向」にこだわりが無く,元気な音をすっきりと見通しよく聴きたいのであれば, 「CLUB PRO+ TWS」一択かもしれません。
「CLUB PRO+ TWS」は,この音を2万円で提供してきたという意味で,ブレークスルー的な機種になるかもしれません。「コスパ」に関しては異様なほどにバリ高です!
2021年に登場するノイキャンイヤホンは, 「CLUB PRO+ TWS」を超えるべく,音質面でも価格面でもより一層の切磋琢磨が求められることになるでしょう。
もしそれが適わなかったら,しばらくの間は 「CLUB PRO+ TWS」の天下が続くことになってもおかしくない…。
そう思わせるだけのとてつもないポテンシャルを備えている本機だと考えます。
あっ,前回も述べましたが,イヤーチップを交換するとケースに入らなくなる場合がありそうですので,くれぐれもご注意を。
場合によっては,ここが障壁となって本機種を選択できない…ということも考えられます。
JBLさん,次機種ではもう少し充電ケースのサイズを拡大し,サードパーティー製のイヤーチップ装着を担保していただきたい!