IntelのARMチップは間に合うのか?
先日は,Intelの次期CPUである「RocketLake-S」についての話題を書きました。
ここで問題視したのは,回路の高精細化やそれに伴うチップパワーについて,Apple Siliconとの差が拡大していくのでは…ということです。
昨年末に発表されたAppleの「M1」は,エントリーモデルであるはずの「Air」と「13インチPro」を「16インチPro」に迫るまでのハイパフォーマンス機へと変えてしまいました。
今後確実に登場するApple Silicon搭載の「16インチPro」「iMac」「iMac Pro」「Mac Pro」等の大攻勢を考えるに,「Intel危うし」と考えるのは自然な流れだと思います。
このような厳しい情勢の中,Intelが大株主から打開策を強く要求されている…という記事も見かけました。
今後も「7nmプロセスルール」チップへの投資を続けるのか,それとも他社への委託を検討するのか…等,生々しい具体的な検討内容にも言及しています。
長年にわたって「10nm」の壁を越えられずに苦しんでいるIntelです。現状のままでは当然苦しくなっていくでしょうから,近い将来,大きな方向転換のニュースが飛び込んでくる可能性もありそうですね。
そんな中…。
IntelもARMチップ製造に参入するのでは…という記事が来ています。
それはそれで茨の道のような気もしますが…?
後追いで「Apple × TSMC」に勝てるとは…
記事によると,
リーカーのマクガイア・ウッド氏が,Intelは取締役会で独自のARMチップ製造を検討しており,2021年後半に参入のアナウンスを行う可能性があるとTwitterに投稿した
ということです。
ウッド氏,Intel製のARMチップを搭載する製品が登場するのは2022年〜2023年になると予想しているようです。
いよいよ何か危険な香りがしてくる情報ですね。
心配な点とすれば,
①「×86」の今後
②Apple Siliconを凌駕する可能性
ですね。
①に関して言えば,Apple Siliconの多圧倒的な性能を見せつけられた今,PCの中心がこれまでの「×86系チップ」からSoCチップへと移行していくことは十分に考えられます。
もしそうなっていくと,Intelがこれまでと同様の戦略をとるのであれば,次第にその勢力が衰えるのは必然。「×86」の世界でもAMDに押され気味のIntelですので,現状のままでは八方塞がりの様相です。
では,ARMに走るのか?
②に関しても,この分野でのApple Siliconの絶対的な優位は明らか。これまで積み重ねたAチップの歴史がありますし,これまでも,スマホで使用されるチップの中ではAチップの性能が飛び抜けて高かったという実績もあります。
この裏には,TSMCという製造元との確かな連携という土台もありますので,この牙城を新参者のIntelが崩すというのは,どうも説得力がない話のように見えます。
Intelは,今後数年かけて開発した独自ARMチップが,今後も性能を伸ばして行くであろうApple Siliconよりも優れたものにする目算があるのでしょうか?
この世界,そんなに甘いものではないように思うのですが…?
デバイス間連携の強みがますます発揮されるApple
もしこれからの主戦場がARMになるとすれば,同系統のチップでまとめられるAppleデバイスの強みがますます発揮されることになるでしょう。
現時点でも,AppleSilicon Mac上でiPhone・iPad用のアプリを動作させることができるようになるなど,その「融合ぶり」が際立っています。今後はますます「Mac-iPhone-iPad-Apple Watch」間でのシームレス感を売りにしてくることでしょう。
Intelにとっては,チップの単純な性能だけでなく,使い勝手に関してもAppleの脅威を感じていくことになるでしょう。