Appleの「ウエラブル部門独占」はしばらく続きそう
先日,スマートウォッチ市場でのApple Watchの強さに関する記事をご紹介しました。
高額であり,正直デザイン的にも野暮ったい感じがするようになってきたApple Watchですが,WearOS勢がなかなか勢力を伸ばすことができず,相変わらずの独走が続いています。
2019年度は,これにAirPodsを含めたウエラブル市場において,Appleが圧倒的な力を示したわけですが,この度,2020年の国内完全ワイヤレスイヤホン実売数が発表になりました。
その結果を見ると,やはりAppleの完勝!
Appleの勢いはどこまで続くのでしょうか?
「売れ筋」が見えてくる集計結果
記事によると,
2020年の完全ワイヤレスイヤホンの年間実売台数で,AppleのAirPods Proが圧倒的な首位だった,とBCNランキングが発表した
ということです。
今回のランキングは,家電量販店やネットショップの実売データを収集・集計したもので,2020年1月1日から12月6日の日次集計データがもとになっているとのこと。
ベストテンは以下の通りになっています。
「AirPods Pro」の1位は当然として,そのシェアが何と「24.0%」という異様な数字になっているとのこと。「圧倒的」という表現をするのも分かりますね。
このデータを見ると,「売れ筋」が明確になっていますね。
まずは「Apple製品」であること。
やはり,スマホにおけるiPhoneのシェアが異様に高い日本では,iPhoneと連携してストレス無く活用できる「純正イヤホン」が人気だということでしょう。
また,イヤホンに詳しくないユーザーであれば,「完全ワイヤレスイヤホン=AirPods」という認識が刷り込まれているのかもしれません。Appleのブランド力恐るべし…といったところでしょうか?
また,興味深いのが,「Apple」「SONY」「JVCケンウッド」の3社でランキングの殆どを独占していることです。
現在はこれまでにないほどのイヤホンブームだと思われますが,その中でも個々の製品の性能重視というよりもブランド重視の傾向が強いということに驚きました。この3社以上に評判のいいものがどんどん出てきているのに…。
何だかもったいない…という気持ちにもなります。
加えて…。
高額機と普及機との棲み分けがしっかりとなされているということ。AppleやSONYは高額機が,JVCケンウッドは普及機での地位を固めているようですね。
2021年は,裾野が広がればいいなあ…
個人的に意外だったのは,「JVCケンウッド」の健闘です。
「JVCケンウッド」といえば,2008年に,ビクターとKENWOODが合併してできた会社。この両者とも,数十年前のAudio界においては,その名をとどろかせた有名メーカーです。個人的にもビクターの大型スピーカーとKENWOOD(正しくはTRIO時代の)チューナーを実際に使用していました。
KENWOODに関しては,手広くオーディオ機器を手がけていて,高額スピーカーで名機を作り上げていた時代もありました。
そんなメーカーが広く認知され,評価されていることを嬉しく感じているとともに,Appleの後塵を拝していることや,安価な製品に活路を見いだそうとしていることに時代の流れを感じざるを得ません。
また,各種新興メーカーのイヤホンが注目を浴びている昨今ですが,それにしても老舗ゼンハイザーの「MOMENTUM True Wireless2」などもランクインしないのですね…。
日本における企業イメージというのも,ことオーディオに関してはまだまだ周知されていない部分が強いようです。
今後,単なる企業イメージだけでなく,イヤホン・ヘッドホンの実際の善し悪しが,ランキング結果により反映されるような時代が来ることを願います。
でも…。
これだけApple製品が支持されているということは,そもそもイヤホンに音質を求めている層がそれほど多くないということなのかもしれませんね。