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Denon「AH-D9200」+ TEAC「UD-505」で感動は得られるか?【Part6】〜音質最終評価(暫定版)編〜

決断を下すとき…

 Denon「AH-D9200」+ TEAC「UD-505」で感動は得られるか…というテーマで,初の据え置き型USB DACを介したヘッドホンの音に挑戦しております。  

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 ここまで,「到着編」「取って出しの音質編」「30時間での音質変化編」「イコライザー編」「最後の切り札 ケーブル編」と書かせていただきました。  

 ここまで,「エージング」「イコライザー調整」「ヘッドホンケーブル,USBケーブルの交換」と,打つべき手は打ったという感覚でおります。

 さて,いよいよ最終的な判断をしなくてはなりません。
「これ程の高級機を購入して,判断も何もないのでは…?」
と考える方もいらっしゃるでしょうが,ここがオーディオの恐ろしいところでして,もちろん「AH-D9200」はものすごい実力を有しているのですが,結局は,
「自分の用途に合っているか?」
「自分の好みの音か?」
という要因が最も重要だと考えています。

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 他のどんな要素が優れていても,自分が最も重要視している部分が気になってしまうと,もういけません。
 そう…。「AH-D9200」には,その「どうしても気になる部分」が存在するのです。それが「どの程度なのか…」というところを吟味しなくてはなりません。

 

ボーカルを気持ちよく聴くための要素とは?

 これまでのレビューで再三述べてきましたが,私はボーカルを伴ったJ-POPを中心に聴きます。つまり,このボーカルを気持ちよく聴かせてくれるヘッドホンであることが,最重要項目なのです。

 そして,正にその部分に「AH-D9200」の最大の弱点があります。

 「AH-D9200」の音は,非常に滑らかでシルキー。それでいて他のイヤホン・ヘッドホンでは聴き取れないような音さえも聴こえるほどの半端ない情報量が内包されています。
 しかし,滑らかでシルキーということは,音のせり出し等が感じられず,結局は「立体感に乏しい音」になってしまうのです。

 それが,これまで「気になる」としてきた「団子状の音」「奥行き感のなさ」という部分。これを解決するために,バランスケーブルにリケーブルしたり,USBケーブルを交換したりして対策をとってきました。

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 改善は見られたのですが,ここに,「しまりのない低音が中音域に被さってくる」という悪癖が追い打ちをかけます。
 特にアップテンポで低音の情報量が多い曲では,せっかくクリアになって立体感も出てきた中音部に,ボワボワした低音が被さってくるのです。イコライザーで低音域のレベルをさげても,この悪癖をカバーしきれませんでした。

 中音部がしっかりと主張するようなヘッドホンであれば,この低音をかわすことができるのでしょうが,元々が平面的な音である本機では,致命傷となってしまう音の構成です。
 ピアノを中心とした女性ボーカルのバラードなどは,これまでにない幸福感を感じ取ることができる反面,ベースやドラムス等の低音が主張する曲ではボーカルが不透明に…。

 恐らく本機は,クラシックなどでは無類の強さを発揮するのでしょうが,そのほかの曲においては得手不得手が如実に表れるタイプなのではないでしょうか?

 反面,これまで私が使用してきたゼンハイザーの「MOMENTUM Wireless3」は,オールラウンドに使用できますし,何しろボーカルが最大限に活かされます。
 中音部が主張するのはもちろんですが,左右の広がりはもちろん,奥行き感も感じられるため,音が非常に立体的なのです。

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 また,低音は「AH-D9200」よりも芯があり,深く響き渡る良質なもの。しかし,それでいて決してボーカルを邪魔しないのです。このチューニングが実に絶妙です。低・中・高音がどれもしっかりと押し出されているのに,音が立体的に構成されているためにそれぞれを邪魔しない…。
 これ,「AH-D9200」の弱点の真逆をいくものです。ゼンハイザーは,やはりリスニング用の調整にかけては業界トップのセンスをもっていると思います。

 もちろん,音の情報量は「AH-D9200」には到底適いませんし,「AH-D9200」の後に聴くとあれだけ豊かだったと思っていた「MOMENTUM Wireless3」の音が痩せて聴こえることもあるのですが,音全体の構成を考えると,
「MOMENTUM Wireless3の方が気持ちよく聴ける! しっくりくる!」
と感じてしまう一面もあるのです。

 

最後の一手に賭けてみる!

 分かっています。
 本来は,20万と5万の機種を比較すること自体がナンセンスだということは…。

 しかし,「気持ちよく聴ける」「バランスのいいボーカル」という,最重要項目において,明らかに「MOMENTUM Wireless3」を選択してしまう自分がいることも事実です。

 決して「AH-D9200」のよさを否定するものではありませんが,このままでは使用頻度が減ってしまうことになりそうな予感が…。
 しかし,さすがにAH-D9200の実力がこの程度とは思えない自分もいます。もう少しエージングを進め,様子を見てみようと思います。

※この青字の部分は,この記事を書いた後に「K872」を購入し,「AH-D9200」もエージングを進めた段階で書いております。本記事では,「AH-D9200は諦めよう…」という勢いで書きましたが,その後のエージングやイコライザーの工夫,K872との比較の中で「大逆転」が発生しております。
 詳細は「K872のレビュー後」にまとめます。お先に今後の「K872」のレビューをお楽しみください。我慢できずに先走って追記してしまいました。

 そして…  最後の一手に賭けてみようかと思います。
 以前,ポタアンを使用していた時代に,AKGの開放型ヘッドホンを使用し,その中・高音の美しさに感心した記憶があります。その後,結局はイヤホン中心になってしまったため売却したのですが,AKGに関しては好印象を持っていました。

 ということで,AKG「K872-Y3 」に最後の望みをかけてみようかと思います。

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 これでダメだったら,ゼンハイザーが密閉型ヘッドホンの最新機種を出すまで待つしかないかな?

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