中国「BOE」が大躍進?
iPhoneのディスプレイサプライ周辺がきな臭くなっています。
iPhone12登場時点においてはSamsungの独占的な状況でした。その一因となったのは,中国「BOE」が生産するOLEDが,Appleの要求する品質を満たせなかったこと。
「BOE」をあてにできなくなったことで,ますますSamsungの影響力が強まっていたわけですが,昨年の12月にようやくAppleの試験に合格し,iPhone12用の6.1インチOLEDの生産を開始した…という情報が駆け巡りました。
これでようやく「Samsung」「LG」「BOE」という3社によるディスプレイ供給が成立することになりました。
Appleからすると,特定のメーカーに生産を依存していることは,有事を考えると得策ではありません。ましてや,Samsungはスマホ業界では最大のライバルでもあります。そのメーカーから圧倒的な数のディスプレイを購入はなくてはいけない…という,わけの分からない状況が続いていますので,できることであれば「Samsung以外」の道を探ることは当然と言えば当然です。
ここまではSamsungの圧倒的な技術力の前にしてどうすることもできなかったApple。
しかし,ここに来て状況が急速に変化しつつあるようです。
主要サプライヤーに格上げか?
記事によると,
中国BOEが,今年発売見込みのiPhone13(iPhone12sとも)向けに有機EL(OLED)ディスプレイを供給する主要サプライヤーになると,台湾メディア経済日報が報じている
ということです。
問題は,この「主要」の度合いですね。
前掲の12/28付の記事に中では,以下のような供給割合の表をご紹介していました。
このデータで言えば,BOEの生産割合は,「主要」とは言いづらいものとなっています。
今回の記事で,台湾メディアが「主要」という言葉を選択したということは,よりBOEのシェアが増えることになった…ということなのでしょうか?
iPhone13には,一部高リフレッシュリートディスプレイが採用されるという噂が濃厚です。果たして,BOEが手がけるのは,どのタイプのOLEDなのでしょう?
常識的に考えれば,高リフレッシュリートディスプレイはSamsung,それ以外をLGとBOEということになるのでしょうか?
将来的に,最先端のディスプレイにおいてもSamsungに頼らなくてもいいような環境になれば,ディスプレイ業界の再編が一気に進むことが考えられますね。
折りたたみiPhoneも睨みつつ…
今回の記事では,
またBOEはiPhone13シリーズでのOLEDパネル需要増に備え,Apple向け製品のみを製造する綿陽市のB11工場の生産体制を整えている
として,BOEがAppleに特化する傾向を取り上げています。
近い将来を考えると,「折りたたみiPhone」へのディスプレイ供給も気になるところ。
これまでは,
「当然技術的に先行しているSamsungからのディスプレイ供給になるのだろう…」
と考えてきましたが,もしBOEが技術的に成熟するとともに,よりAppleへと歩を近づけてくるなら,こうした最先端のディスプレイに関してもSamsungばかりを頼らなくても良くなるかもしれません。
そうなれば苦しくなるのはSamsung。
この2020年代,Samsungがこれまでの隆盛を守ることができるかどうかの瀬戸際が近づいているのかもしれません。