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ゼンハイザー「IE900」レビュー⑥〜音質最終評価編

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IE900の音質,最終判断は?

 ゼンハイザーから6月1日に発売されたフラッグシップイヤホン「IE900」のレビューをしています。 

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 これまでは「到着編」「取って出しの音質編」「DAPとの関係性編」「イヤピース選択編」「DAP選択編」を書かせていただきました。 

 今回は,数十時間のエージングを経ての「最終音質評価編」です。

 前回の「DAP選択編」で,DAPを「KANN ALPHA」から「DX300」に変えたことで,早く的な音質の改善が認められたIE900。
 当然最終判断も,「IE900 + DX300」という構成で下していきます。

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心地よい「フラット系リスニング機」の完成形

 まずもって,「取って出しの音質編」で書かせていただいたIE900の印象をもう一度。

〇かなりフラット系ではあるものの,モニターとは異なる。
〇音の傾向としては「HD820」と似通っており,「フラット系リスニング機」と言えるもの。
〇低音−中音−高音と,滑らかに吹け上がる。ダイナミックドライバーのよさが生きている。
〇ただし,決してドンシャリではないため,リスニング傾向が強めの機種を求めている場合には期待はずれと思うかも…。
◎特筆すべきは「ボーカル」の美しさ。
◎美しさに加え,「近さ」が程よいため,ことボーカルに関してはHD820よりも心地よく聴ける。
〇音場は,イヤホンにありがちな「左右にだけ広い」という感覚が無い。前方に均等に広がる感覚。これもHD820と同系統。ただし,当然HD820の方がより広がった空間で鳴らすため,イヤホンとしての限界は感じられる。
〇解像感も問題なし。
〇高音部の刺さりもなし。取って出しでありながら,音の出方に余裕がある。

 結論からいえば,大体において当初の印象のまま推移しております。
 また,今回は途中でDAPの相性テストをしながらエージングを進めたという特殊な条件のために,エージングによる音質の変化についてはあまり自信が無いのですが,「大きく化けた」という印象はありません。
 近年のゼンハイザーイヤホン・ヘッドホンは,取って出しの状態からその実力を発揮する傾向にあると考えていますので,IE900においても同様のことが言えるかと思います。

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 ここまで聴いてきて印象的なのは,やはり「ボーカルの近さ・美麗さ・聴きやすさ」です。本機は,フラットでありながらもリスニング寄りに振られており,ダイナミックドライバー特有の音の伸びや音の繋がりのよさも兼ね備えていることに加え,この「ボーカル帯特化」ともいえる特徴を持ってることから,ボーカル聴きにとっては珠玉の名機になると考えます。

 本当にうっとりするようなボーカルが広がるのです。女性ボーカルのバラード曲などは,心が打ち抜かれてしまうほどの魅力。

 ボーカルがそれほど近くないイヤホン・ヘッドホンでは,どうしても楽器の数が多くなったり,ロック調だったりすると,ボーカル帯が埋もれてしまう傾向があります。これは,ヘッドホンのHD820でも見られる傾向。ボーカルの美しさを楽しみたい場合には,中音域がうもれてしまったり,音の情報量が多過ぎたりしてボーカルに集中できなかったりする弊害が生まれるわけです。

 しかし,IE900ではそのようなことが全くありません。あくまでも主役のボーカルが際立ちます。それでいてボーカル帯だけが浮き上がってしまうこともないという何とも不思議な音。まあ,ボーカルだけではなく,全てにおいて破綻はないのですが…。

 

DX300との組み合わせで魅力倍増

 以前のレビュー内で,
「IE900は,DAPの素性をあぶり出すほどの性能をもっている」
と書きました。それだけ再現性が高いのだと思います。

 そして,今回DX300との組み合わせで,IE900の魅力が更に発揮されることに気付きました。KANN ALPHAと何が異なるのかについては,「DAP選択編」をご覧ください。

 DX300という機種は,元気でウォーム傾向の音。それでいて低音がしっかりと締まり,ちょうどよく主張する量感もあります。そして,IE900同様にボーカル帯の中音が張り出す傾向があり,正にIE900とのコラボで,互いのよさを引き出し合うための素地を備えているのだと思います。

 IE900,DX300ともにリスニング傾向。しかし,ドンシャリではなくあくまでもフラットを維持。暖かめの音色ということも共通。さらに,ボーカル特化型ではありながら,低音−中音−高音を満遍なく鳴らします。こんな組み合わせ,あります?
 また,DX300の弱点である,「若干の輪郭の甘さ」も,IE900が「行き過ぎないように」制御してくれています。適度に甘く,それでいて音の厚みもあり,解像感も申し分が無いため,私にとってはこれ以上にない音となりました。

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 さらに…。
 DAPをDX300に変更したことで,音場が四方に二回りほど広がった感を受けます。さすがにHD820には適いませんが,ちょっとイヤホンでは聴いたことがないほどの壮大さを感じます。
 イヤホン特有の「横方向ばかりに広がる」という感覚が全くありません。この空間表現は異次元だと思います。

 KANN ALPHAでは,このような壮大な空間を意識することは全くできませんでしたので,IE900にとってDAP選びがどれだけ重要かが分かります。

 私はリスニング寄りの音が好みですので,DX300で満足ですが,もう少し繊細な音が好みなのであれば,「HiByMusic R8SS」「Cayin N6ii DAP / A01」という選択肢もあるのではないでしょうか?

 聴き手色に染まる…。
 それだけの実力を持っているのが「IE900」なのではないでしょうか?