Apple Musicのハイレゾ/ロスレス,その音質は?
WWDC21とともに,いきなりやってきたApple Musicの「ハイレゾ/ロスレス」。
先日はその「導入編」をお伝えしました。
新システム導入直後ということで,肝心のロスレス/ハイレゾ対応曲に限りがあったり,最新曲ほど未対応の曲が多かったりと,なかなかにいびつな状況ではありますが,これについては今後の早急な体制整備をお願いしたいところです。
さて,肝心なのは当然「音質」です。
そして,当然比較対象になる得るのは,AmazonPrime Music HD。
こちらも,Apple Musicのハイレゾ/ロスレス対応に合わせて,価格を引き下げてきました。
ついにハイレゾ/ロスレス環境が,1,000円で聴き放題になる時代がやってきたわけで,この点に関しては,
「Apple Musicよ,よくぞ風穴を開けてくれた!」
というところ。
後は,どのような選択をするか…です。
そして,「音質」に関しては,明確にサービスごとに違いがあるように感じました。
Apple Musicのバランスが好き! ハイレゾでは?
そもそもですが,数年前からサブスクを利用するようになった時点で,Apple Music,Spotify,Amazon Musicとを聴き比べ,特に重視しているボーカル帯の張り出しや,音全体のバランスを考慮し,Apple Musicを選択した…という経緯があります。
また,Amazon Music HDが登場した際も,音の解像度とは別の観点から,敢えてApple Musicを選択したことは,以前に記事にしているところです。
更に更に…。
HD820やMinuetSEといったハイレゾ対応のヘッドホン・スピーカーと「Mac Pro + UD-505 + AX-505」という体制で聞き始めてからも,一旦はAmazon Music HDの解像感のえげつなさに傾いたものの,最近はApple Musicに舞い戻っていました。
Amazon Music HDは,とにかく解像感を全面に押し出してくる音です。ちょっとやり過ぎなんじゃないか…と思えるほどに,特に高音側をカリカリに仕上げているのですが,私にとっては我慢できない「弱点」があるのです。
それは,
「ボーカル帯である中音が引っ込んでしまっている」
ということ。
ボーカルをじっくりと聴きたいのですが,低音,特に高音の張り出しが多すぎて,ボーカルを邪魔してしまうのです。
しかも,それが超カリカリの音であるため,耳に刺激を与え,「非常に聴き疲れする音」として聴こえてきます。
私には長時間聞き続けることは難しかったですし,ボーカルが気持ちよく聴けない曲が非常に多くて,リタイヤしてしまいました。
この点において,従来のApple Musicはあんばいが良かったのです。
もともと,低音−中音−高音の張り出しバランスが非常にとれていて,一般的なCDのバランスに近いと感じていました。つまり,これまでは,
「解像度よりも,音のバランスの良さを優先した選択」
をしていたわけです。
そこにApple Musicのロスレス/ハイレゾ対応が来たわけですので,期待するなと言われても無理なわけで…。
さて,Apple Musicでのハイレゾ/ロスレス対応の曲は,どのように聞こえたのでしょうか?
ロスレス/ハイレゾでも… バランス最高!
結論からすると,私にとってはApple Musicのバランス最高…となりました。
ロスレス/ハイレゾ化によって,確実に音質が向上しました。
まずもって,音の輪郭がはっきりした…という印象が最も強いです。これまでややぼやけていた音の一音一音がくっきりとしたことで,大きな解像感のアップを体感できます。
また,低音の沈み込みや響きの豊かさが飛躍的に向上しました。
これ,中音を邪魔することがない…というApple Musicの低音よさはそのままで実現していることに感動です。つまり,単に低音の量を増やしているということではなく,あくまでも「質を上げる」ことで臨場感や艶のような雰囲気まで描き出すことに成功しています。
また,高音もキラキラしています。しかし,Amazon Music HDのようにやたらと解像度を表に出すような表現ではなく,あくまでも低音−中音−高音のバランスを考えるチューニングになっている当たりがありがたい!
Amazon Music HDの音が好きな方には,
「Apple Music,解像度が足りないんじゃないの?」
と言われてしまうかもしれませんが,全体のバランスを考えると,私には非常に好ましく思える美しい高音です。
そして…。
肝心の中音域。
もちろん解像度を上げながらも,これまで同様,低音や高音に負けずに,しっかりと前に張り出してくるため,女性ボーカルが感動的に響きます。
Apple Musicのロスレス/ハイレゾは,
「これまでのAAC/256kbpsの曲を,そのままの路線で高音質化させた」
と言えます。
非常に自然であり,聴き疲れも少なそうな音色。
これまでのApple Musicの音傾向が好きな方であれば,きっと納得できる音に進化していると思います。