TSMCが米国上陸!
iPhoneが長年安定した性能を保持し、しかも安定的に救急されている裏には、Appleの企画・設計・技術力とは別に、それを部品として生産するサプライヤーがあることは周知の事実です。
Appleが、自社生産工場を持たずにここまで世界的な企業に成り上がったこと自体が「異様」な事柄なのですが、それらを可能にしてきた「交渉術」のようなものが、もしかすると最も評価されるべきことなのかもしれません。
これまでのAppleデバイスに関しては、そのまま他社製を利用することも多かったわけですが、例えばモデムにしても、2022年のiPhoneからはQualcomm社製からApple純正に切り替える動きがあるなど、設計段階からAppleが取り仕切ろうとする動きも強くなりつつあります。
ディスプレイに関してはSamsungに依存する面が非常に大きいなど、自立の壁は厚いものがあるようですが…。
そんな中でも、Appleとサプライヤーとの関係性で、「蜜月」ともいえるほどの良好な立ち位置を保っているのが、SoC生産を手がけるTSMCでしょう。
Appleの要求する高い水準を、圧倒的な技術力で満たすことのできる企業、それが台湾のTSMCです。iPhoneの絶対的な優位性であるAチップの性能を支える企業としても知れ渡っており、昨今のチップ供給不足の中、iPhone13用のA15Bionicの生産を最優先事項としてすでに量産体制に入った…という話題にも注目が集まりました。
そんな、Appleに取っての絶対的なパートナーであるTSMCですが、ついに米国本土に上陸するようです。
2024年から量産開始か?
3nmプロセスチップを生産か?
記事によると、
Nikkei Asiaが現地時間7月15日、TSMCのマーク・リュー会長が、アリゾナ工場では2024年第1四半期(1月〜3月)に量産を開始する計画であることを伝えたと報じた
ということです。
1年前からTSMCの米国進出自体は報じられていたわけですが、すでに従業員の雇用・研修も進んでいることや、実際の稼働時期にまで言及されたようですね。
「2024年1〜3月期」ということは、今後のiPhoneの搭載されるチップの予想から、この控除がどのようなものを生産することになるのかについて予想することができそうです。
これまでの噂では、
〇2021年 iPhone13→A15(5nmプロセスルール・N5P)
〇2022年 iPhone14→A16(4nmプロセスルール・N4)
〇2023年 iPhone15→A17(3nmプロセスルール)
というロードマップが囁かれています。
ということは、「2024年1〜3月期」から稼働するというアリゾナ工場では、3nmプロセスルールである「A17」の生産から取りかかる…ということになるでしょうか?
もちろん、Aチップと連動し、同様のプロセスルールに則ったMac用SoC(Mシリーズ?)も生産されることになるでしょうから、いずれにせよ、Appleデバイスの心臓部とも言えるApple Siliconの生産が、いよいよ米国本土で開始されることになりそうです。
政治的要因も関わった綱引きか?
今回の米国本土でのチップ生産に関しては、当然政治的な色合いが濃いのでしょう。
Appleは今や世界一を争う企業ですが、サプライヤーは米国以外が殆どであり、米国にとっては旨みが薄いことも事実。
TSMCとすれば、恐らく政治的な圧力から、今回の向上設置を無視するわけには行かなかったのでしょう。
ともあれ、我々ユーザーとすれば、人件費等の条件によって生産される部品のコストが上がり、Appleデバイスの価格が上昇するのではないか…ということを心配してしまいます。
まさかAppleがそんなへまをやらかすとは思えませんが、それら全ての要因を考え合わせながら、今後の生産に向けた綱引きをしてもらいたいと願うばかりです。