湊かなえ「残照の頂〜続・山女日記〜」が11月11日に発売!
待ってました…という感じです。
湊かなえさんの最新刊「残照の頂〜続・山女日記〜」が11月11日に発売されます。
「選択」を迫られた女性の決断を描く
湊かなえさんは、デビュー作「告白」から、言わずとしれた「イヤミス」の女王として君臨しています。
この「イヤミス」の分野においては、近年はやや消化不良な作品が見られることが多くなり、個人的にはやや心配もしているところです。
しかし、湊さんには、実にハートフルな物語を綴る一面もあります。
私は「そちら側」の湊さんが非常に好きでして、私が湊作品の中で最も好きなものを上げよ…と問われたら、迷わず「花の鎖」と答えるほど。
「花の鎖」は、三世代に渡る女性の物語であり、祖母・母・子の生き様とその繋がりを実に感動的に描いた傑作だと考えています。
また、この路線で綴られた「山女日記」も非常に読み応えのある作品でした。
様々な人選の岐路に立つ女性が、山を登ることを通じて人生の方向性を探る…という短編集。
前作は、以下のような構成になっていました。
一人一人の女性が、山を登ることを通して、共に山を登る人を通して、自らの心を整え、新たな自分への第一歩を踏み出すためのきっかけや勇気をもらうことになります。
一つ一つのストーリーが、短編でありながらも非常に読み応えがあったのは、「山」を介して登場人物の心の動きを表現したために、余計な言葉をそぎ落すことができた…という文章そのものの魅力によるものだと考えています。
となると、今回の続編にも大いに期待してしまいますね。
Amazonの紹介ページには、
ここは、再生の場所。
NHK BSプレミアム「山女日記3」原作小説。
幅広い層に支持されたベストセラー、待望の第2弾。
「通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。たいへんだったと口に出せばいい。そこを乗り越えた自分を素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。」
後立山連峰
亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。
北アルプス表銀座
失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。
立山・剱岳
娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。
武奈ヶ岳・安達太良山
コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。
……日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。頂から見える景色は、過去の自分を肯定し、未来へ導いてくれる。
という説明書き…。
「頂から見える景色は、過去の自分を肯定し、未来へ導いてくれる」
という文章からは、期待通りの物語と出会えそうな予感がしますね。
発売日は11月11日ということで、発表後から間もなく…という非常に嬉しいパターンです。
久しぶりに「すっきりした湊かなえ」が楽しめそうです。