IntelがTSMCの「3nmプロセス」生産枠を狙っている?
昨今のPCに置けるチップ情勢は、ころころとその姿を変えているような印象を受けます。
やはりその要因をつくったのは、Appleの「M1チップ」でしょう。
完全にIntelと決別し、SoCの可能性を見せつけたことで、他のメーカーもSoCチップの生産を意識するほどになっています。
しかし、Intelも「Alder Lake」で性能的にはM1 Maxを凌駕するパワーを手に入れるなど、ユーザー側も何が「正解」かを考えたチョイスをすることが求められ始めていますね。
しかし、Apple Siliconは、iPhoneやiPadの「Aチップ」、Aチップを基にした「M1チップ」、そして更にグラフィック性能を高め、2022年の登場が予定されている「M1 Duo・Ultra(仮称)」まで、「1つの考え方から多様なチップを生み出す」という、これまででは考えられなかった宝の山を掘り当てたような印象もあります。
SoCチップ特有の発熱の少なさ、省電力性の高さも相まって、Intelとは異なったステージでの存在意義を着々と構築いているように映ります。
そんな中…。
Intelが、TSMCの3nmチップ製造ラインを巡って、Appleとの間合いを計っている…という情報が来ています。
Intelの「外注化」は何を意味するのか?
記事によると、
DigitalTimeは、米半導体大手インテルは、台湾TSMCの3nmチップ製造ラインをめぐってアップルとの衝突を避けるため、TSMCと協議する予定だと報じた
ということです。
先日、TSMCが3nmプロセスルールに基づくチップの試作に入った…という情報がありました。遅れが生じているといわれていたTSMCの3nmですが、ようやく試作段階までは進んでいるようですね。
当然、この「3nm枠」の多くは、蜜月を続けているApple用と思われますが、Intelが、新チップのGPU部分のために、TSMCと協議する予定だというのです。
Intelは、言わずもがな、チップ生産の雄でした。
「Intel入ってる」
というコピーのもと、「Intel=高性能」というイメージを、我々は長くもっていたように感じます。しかし、チップの高精細化が大幅に遅れ、AMDの台頭もあり、ここ数年で一気にIntelの立場が危うくなり…
この度の「Alder Lake」で一矢報いた状況かもしれませんが、今後を考えると、「外注やむなし」と考えたのか、すでに一部チップをTSMCに委託することを決定しているようですね。
まずもって注目なのは、果たしてTSMCが3nmプロセスの生産枠をIntelに与えるのか…という点です。これまで長期間にわたって蜜月関係にあるAppleのライバルに対し、最先端の枠を与えるのか…。
また、もし与えることになったとして、「どの程度与えるのか?」という量的な問題もあります。さすがに、Appleに不都合があるような大量の枠を与えることは考えづらいでしょう。
このあたりは、IntelとTSMCとの折衝の結果に注目ですね。
さらに…
Intelが「外注」を開始したとなると、今後急速にその流れが加速する可能性があるように感じます。これまで「自前」を建前としてきたIntelですが、得に最先端の高精細チップに関しては、TSMC等の企業に委託する…という、新しい形のIntelサイクルが構築される可能性もあると考えるわけです。
果たしてIntelは、そのやり口で生き延びることはできるのか?
x86、SoCに限らず、全てのチップ製造メーカーにとっての過渡期が、今やってきているのかもしれません。
将来的なIntelとAppleとのタッグはあり得るか?
今回の記事では、
IntelのゲルシンガーCEOはMacが自社製チップからAppleシリコン(アップル独自開発チップ)に完全移行することを危ぶみ「Mac向けビジネスを取り戻したい」と発言していた
としています。
もし、IntelがTSMCの生産枠を一定数確保することができるのであれば、ひょっとするとそれを武器にAppleと再びタッグを組む…ということがあり得るかもしれません。
今回Intelが要望しているのは、「GPU」チップの3nm枠ということ。
であれば、今後のApple Siliconで、外部GPUとの接続が可能なものが出てきた場合に、「Apple Silicon + Intel GPU」でパワーアップする…なんてことが可能なのでは?
あくまでも素人の妄想ですが…。