カメラ業界の「供給不足沼」は非常に深刻
コロナ禍となり、全世界の産業全体が半導体不足等の影響を大きく受けているわけですが、それはカメラ業界でも色濃く出てしまっています。
というか、カメラ業界においては、他の業界よりもその影響が大きいのでは…とさえ感じます。じり貧とも言われているこの業界ですので、本来であればそれなりの供給があってもおかしくないと思うのですか、どのメーカーも新製品を発売すると即座に、
「供給不足のお詫び」
がHPに掲載されることになるのが定番となってしまいました。
これまでであれば、
「供給できないのであれば、発売するな!」
とも言えたわけですが、恐らくその批判を受けることは各メーカーも承知の上で発売しているはず。
つまりは、供給不足になることは分かっているものの、技術的に発表できるものを留め置いてしまっては今後の新製品開発にも影響が及ぶ…という思惑が働いているのではないかと予想します。会社としての開発サイクルを回していかなければ、発展はあり得ません。
現状は、売りたくても売れない状況ではあるけれども、現状出すべき技術は出していかなければならない…という非常に厳しいことになってるのだと思われます。
そしてこのことは、本来であれば新製品を投入することで商品が売れ、その利益を新たな開発費に回す…という健全な企業サイクルを妨げられていることに繋がります。
世の中には「買いたくても買えない…」という予約待ちの顧客が大量に発生しているわけで、せっかく素晴らしい製品が数多く登場しているのに、その恩恵をユーザー側も企業側も受けられないという厳しい状態になっていますね。
年末にあたり、それらの実情を報じた記事が出てきています。
欲しいものは即予約…が鉄則に
この記事では、デジカメの供給不足に関するメーカーと販売店の声が紹介されています。
特に販売店側の声は、現状をダイレクトに語っているものと捉えることができるわけですが、「ものが入ってこない…」と嘆くその内容からは、企業側の安定して供給できる体制が根本的に整っていない…と捉えることができそうです。
この中で特にその影響が心配されているのかSONYです。
以前の「カメラシェア」の記事でも紹介しましたが、
「α7IIとα6100は生産完了、α6600とα7Cの注文受付停止」
という非常に生々しい発表がなされました。
本来であればかき入れ時の年末にこの状況。事態は深刻なようです。
また、SONYが生産調整した機種は、所謂エントリー機。SONY以外のメーカーも、主力を高価格帯の機種に切り替えつつありますので、メーカーとしても、限られた半導体の使い道を利益率を考えた上で再分配し始めているのだと思われます。
しかし、その高価格帯モデルにしても供給体制は脆弱です。
2021年後半に発売された「Canon EOS R3」「Nikon Z9」は、その優秀な性能は認められながらも、いつ手に入るかも分からないほどの予約待ちが続いているようです。
特にひどいのはZ9。
先日発売され増したが、その供給量はごく僅かで、予約開始日に予約した方々が、
「次回入荷は9月」
と明言された…という報告も上がっています。
先日は、次回入荷が「2022年10月」という記事もありました。
これではさすがにテンションが下がってしまいますね。
初期入荷に届くかは分かりませんが、
「欲しいものがあったら、予約開始時刻に即予約!」
が鉄則になってきそうです。
レンズ不足はより深刻
加えて…。
私がボディー不足以上に深刻だと考えているのが、慢性的な「レンズ不足」です。
新製品はもちろんですが、定番と言われるレンズもすぐさま手に入らない状況なっています。
特に、Canonで言えば「Lレンズ」のような高性能レンズがこの傾向が強いようです。
カメラボディは、レンズが無ければただの箱です。
そのレンズが「欲しくても手に入らない…」というのはかなり異常な状況ですよね。一本数十万円もするレンズが、手に入らないんですよ!
ただでさえじり貧のデジカメ業界。
せっかくいいカメラが出てきて盛り返しの兆しがある中での供給不足は、非常に痛いと言えるでしょう。