「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」が3月25日に発売!
先日、『珈琲店タレーランの事件簿7 悲しみの底に角砂糖を沈めて』が3月4日に発売になることをお伝えしました。
その中で、
「ビブリアの続編もそろそろ…」
と書いたのですが…。
なんと、それに呼応したように、扉子シリーズ「Ⅲ」発売の報が入ってきました。
「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」が3月25日に発売です!
「篠川家の時間旅行」、今回の切り口は?
栞子と大輔を中心に描いたた「第1シリーズ」が終了し、2人の結婚後を描く「第2シリーズ」に入ったビブリア古書堂シリーズ。
ローマ数字で巻数を表す新章も、今回で「Ⅲ」となります。
この「新章」の書きぶりに関しては、これまでも本ブログで分析してきました。
「Ⅰ」にあたる「扉子と不思議な客人達」では、6歳になった2人の子ども「扉子」が大輔に昔話をねだるような展開で書かれる短編集となりました。
「Ⅱ」の「扉子と空白の時」では、高校生になった扉子のプロローグとエピローグの間に、横溝正史の雪割草・獄門等のエピソードを挟んだ展開となりました。この3つのエピソード、栞子が扉子を身ごもったときと扉子が小学3年生になったときの時を繋いだストーリーとなっており、本作の背景を知った上で読むと楽しみが倍増するような「篠川家の時間旅行」を味わうことができます。
扉子と不思議な客人たち」の叙述から,栞子さんと大輔が結婚したのが「2011年10月」と読み解けますので、「Ⅱ」の高校生になった扉子が生きているのは「2030年頃」となるでしょう。
このあたりに関しては過去記事を参考にしていただきたいのですが、深読みすればするほどに楽しめるのが、このビブリア古書堂シリーズなのです。
さて、今回の「Ⅲ」がどのような切り口で書かれているのかについても気になりますね。
角川の説明書きには、以下のようにあります。
春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。
ある古書店の跡取り息子の死により遺された約千冊の蔵書。高校生になる少年が相続するはずだった形見の本を、古書店の主でもある彼の祖父は、あろうことか全て売り払おうとしているという。
なぜ――不可解さを抱えながら、ビブリアも出店する即売会場で説得を試みる店主たち。そして、偶然依頼を耳にした店主の娘も、静かに謎へと近づいていく――。
「扉子が何歳なのか?」という具体的な記述はありませんが、もしかすると「依頼を受ける」までに成長した「2030年頃」の扉子が中心になって謎を解く展開になっているかもしれません。
恐らくは、作者の三上さんとしては、新シリーズを「栞子さんや大輔が脇役となり、主役は扉子…」という形で描きたいのでしょう。
だとすると、これまでの「Ⅰ」「Ⅱ」という準備期間を経て、いよいよ本作あたりから扉子の魅力大爆発…となるのかもしれませんね。
本作のターゲットとなる書物は?
前作「Ⅱ」のストーリーの中心は、横溝正史の「雪割草」でした。これは、近年発見された横溝正史の忘れ去られていた作品であり、その直近の作品を取り入れて謎解きを作り上げられたが「Ⅱ」です。三上さんの瞬発力が遺憾なく発揮される形となりました。
さて、それでは最新刊「Ⅲ」で取り上げられる作品は果たして?
「ビブリア古書堂シリーズ」は、単なるラノベ作品ではなく、文学的な知識を取り入れられた上に極上のミステリーを奏でるという点で、非常にレベルの高い作品に仕上がっています。
どのような書物が、どのような秘密を纏い、どのような人々を巻き込んだ謎を形づくっていくのか…。
読み進めるのが今から楽しみでなりません。