ゼンハイザー「IE600」登場!
ゼンハイザーから新機種が来ました!
個人的にはヘッドホンのHD820後継機を期待していました。
イヤホン上位機種である「IE900」を聴くと、ボーカル帯の出方が非常に心地よく、HD820のボーカルが引っ込んで聴こえてしまいます。
ボーカル中心に聴く私からすると、どうしてもIE900を取り出す回数が増えてしまうことに…。DAPをiBassoの「DX300Max」に換えてからは据え置きのヘッドホンアンプに迫る音を楽しめるようになったこともあり、音質傾向を最近のゼンハイザーのものに変更した「新型ヘッドホン」の登場が待たれます。
そうこうしているうちに、なんとイヤホンの新機種が登場することになりました。
機種名は「IE600」。
そう、リスニングイヤホンのフラッグシップ機である「IE900」とベースモデルである「IE300」との中間に位置するミドル機の登場です。
「ミドル機」とはいえ価格は10万円に迫る高級機。
音質傾向を調べると、その価格も納得のゼンハイザーの戦略が見えてきます!
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「ボーカル特化型」でIE900と区別化か?
まずもってIE600の筐体をみると、黒光りしているようにも見えます。
これ、IE900がアルミ削り出しのハウジングであるのに対し、「パウダーにレーザーを照射して積層していく粉末焼結積層造形法を用いた超高性能3Dプリンター製の”アモルファスジルコニウム素材”」が採用されているとのことです。
この「アモルファスジルコニウム」ですが、「通常のメタルよりも頑丈でありながら伸縮性があり、気温の変化に強い」「腐食に強く、経年劣化しにくい」「アルミよりも重く、遮音性が高い」等のメリットがあるようですね。
IE900が片側4㌘であるのに対し、IE600は6㌘とのことです。
さて、肝心の音質ですが、そのIE900との帯域比較グラフを見ると明確になります。
「2kHz-3kHz」の帯域で明確に差が出ていますね。
この周辺がボーカル帯と被さることを考えると、IE600の方がボーカルの臨場感のようなものを重視していると予想できるでしょう。
実際の聴き比べをした動画もアップされています。
動画を投稿したまるおさんは、イヤホン・ヘッドホン関連のこれまでのレビューで非常に的を射た指摘をされており、私としては信頼できると考えております。
マルオさん曰く、
・IE600の方がボーカル帯が目立ち、非常に心地いい。
・IE600の方がエッジが立っており、元気ですっきりとした音に聴こえる。
・IE900の方が、全域にわたってしなやかに聴こえる。
・IE900の方が一つ一つの音の粒立ち、消えていく余韻、広がりの表現で優れている
とのことでした。
IE600も、非常に優れた空間表現をしており、横の広がりや奥行きなどにおいてヘッドホンで聴いているかのように聴こえる…とのことで、このあたりは十分にIE900と同じ立ち位置で評価できるようです。
その上で、IE600はボーカル域の音を重点化して表現することで、非常に気持ちよくボーカル帯を聴ける機種になっているのでしょう。
対するIE900は、正に全域にわたっての音の解像度、艶、広がりと消失などを求めており、音楽をトータルで見たときにグレードの違いが感じられるものと想像できます。
私としては、IE900でも十分にボーカル帯は主張していると感じています。
非常にボーカル帯が近く、よく表現される「耳元で歌っている」という感覚の極みです。
IE600がこれ以上となると、逆に「ボーカル域だけが目立ちすぎないか?」という疑問も湧きますがどうなんでしょうね。
まあ確かに、IE900は低音もしっかりと主張しますし(それでも目立ちすぎることがないのが凄いところ)、高音も当然非常に煌びやか。
ボーカルだけが主張する…とはなりませんので、本当にボーカルメインで楽しみたい…というユーザーには唯一無二のイヤホンになり得るかもしれません。
個人的には、最終的には「総合力」を求めることになると考えますので、このまま安心してIE900を使っていこうと思います。
それにしても、入門機「IE300」、ボーカル特化の「IE600」、総合力の「IE900」と、ゼンハイザーのリスニングイヤホンの形が整ってきた感があります。
ゼンハイザーの音質が好きでたまらない私からすると、非常に喜ばしいことです!