住野よる「腹を割ったら血が出るだけさ」・7/27発売
振り返ってみると、住野よるさんの前作は2021年2月25日に発売された「麦本三歩の好きなもの 第2章」まで遡るのですね…。
いやいや、結構住野さんの新作と出会っていなかったことになります。
この「麦本三歩のすきなもの 第2章」は、個人的な2021年お薦めの本の同率1位に推させていただいたほどの会心作でした。
2022年に入り、自分のお気に入りの作家さんの新作がなかなか刊行されていませんでしたので、ようやく…といった感が強いですね。
住野さんといえば、新作を発表する度に新ジャンルに挑戦しているという印象を受けます。
「この気持ちもいつか忘れる」では、非常に精神的・メルヘン的な世界観を現実の世界に落とし込んだ恋愛小説に挑戦。
「青くて痛くて脆い」では、青年期のゆがんだ感情が絡んだすれ違いを描きました。
今回はずばり、「青春群像劇」だそうです。
高校生の内面を深くえぐる作品になるか?
7月27日に発売される最新刊は、
「腹を割ったら血が出るだけさ」
ということで…。
何ともエグいタイトルですね。
説明ページには、
高校生の茜寧は、友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っている。しかしそれは、「愛されたい」という感情に縛られ、偽りの自分を演じ続けるという苦しい毎日だった。ある日、茜寧は愛読する小説の登場人物、〈あい〉にそっくりな人と街で出逢いーー。 いくつもの人生が交差して響き合う、住野よる初の青春群像劇。
とあります。
高校生という自分探しに迷いがちになる時期の「自分で自分がよく分からなくなるような感情」、友人達や恋人との「すれ違い」「一体感」のような「ままならなさ」を描いていくのでしょうか?
あえて「青春群像劇」と称していますが、「青くて痛くて脆い」も捉えようによっては青春群像といえるでしょうし、【か「」く「」し「」ご「」と「】も同様です。
これまでの作品とは何が異なるのか?
そのあたりに住野流の伏線があるのかもしれません。
住野さんの文章は、「言葉遊び」「伏線の張り方」が非常に特徴的であり魅力ともなっています。また、やや理屈っぽい書く方になりがちなのですが、それがうまく作用する場合とそうでない場合があるのも事実。
読み手としては、純粋に住野節を楽しむと同時に、単純にストーリーにも納得したい!
「群像」という部分を、住野さんがどのように料理してくるのかに注目です。
久しぶりの「双葉社」から
また、個人的に注目しているのが、久しぶりに「双葉社」からの刊行になるということです。
住野さんといえば、「君の膵臓をたべたい」「また、同じ夢を見ていた」「よるのばけもの」と、デビューから3作は双葉社からの作品となりました。
それ以降は「新潮社」「角川書店」「幻冬舎」からの出版になっていますので、住野さんの奪い合いが起きているようです。
それが今回双葉社への回帰。
作品の内容と、今回の双葉社への回帰がどのように関わっているのか…ということも興味が湧きますね。
あと2ヶ月…。
待ち切れん!
★レビュー追記★