池井戸潤最新刊「ハヤブサ消防団」が9月5日に発売!
池井戸潤さんの最新刊、「ハヤブサ消防団」が、9月5日に集英社より発売となります。
思えば、最近の池井戸さんは新作までのスパンが以前世も長くなっている印象を受けます。それだけに、一作一作の完成度が重要。新作の出来映えも非常に気になるところです。
池井戸さんと言えば、非常に読みやすい文章の上に、特に最近では「水戸黄門的勧善懲悪人情ストーリー」が定番となり、一般的な受けはいいようです。
しかし、これにTVドラマ等とのタイアップ感が強まった感があり、個人的にはかなり「鼻につく」ような印象が否めません。
「大衆受け」を狙っている感じが強くて…。
初期の経済小説的な色合いが強かった頃のクールな文体が非常に好みだったこともあり、最近はちょっと「甘く」なりすぎているかな…とも感じます。これに「人情話」的なストーリー展開が多用されていることも加わって、ますます「池井戸潤とはなんぞや?」ということを考えてしまったりします。
そんな中でも、2020年に発刊された「アルルカンと道化師」はなかなかの良作でした。
半沢直樹シリーズの一環でありながらも、謎解き要素を含め、これまでのような「ベタ」な感じが薄まり、刺激的な作品になっておりました。
さて、今回の「ハヤブサ消防団」。
新風を感じさせてくれるような作品になっているのでしょうか?
「田園ミステリー」は「人情話」を乗り越えられるか?
本作は月刊「小説すばる」に連載されていたようです。
作品紹介を見ると、
東京から父の郷里・ハヤブサ地区に移住した売れない作家の三馬太郎。
田舎暮らしを楽しむはずが、地元の消防団入りした彼を待ち受けていたのは連続放火事件だった。
息もつかせぬ展開の、池井戸潤まさかの“田園”ミステリ⁉
とあります。
「田舎」「消防団」「連続放火」ということから、恐らくは田舎だからこその人間関係のもつれから生じたトラブルを解決していく…という展開になることは間違いないでしょう。
この時点で「人情話」感がモリモリで、若干嫌な予感がします。
読み手と登場人物との「距離感」というものがこの手の作品では重要だと考えますので、この点を池井戸さんがどのように自覚し、どのように捌いているのか…ということに注目ですね。
池井戸さんのことですので、ストーリー展開や読み手を引き込む力に関しては心配いらないでしょう。
読了後に、ベタベタしすぎないすっきりとした感覚を味わいたいものです。