Appleの「機種拡張戦略」は吉と出るか? 凶と出るか?
先日、iPadの機種戦略についての記事を書きました。
その中で、「Apple製品が多すぎる」という内容の記事を紹介しました。
この記事は、iPadの機種が増えたことで、「どのiPadがいいのか」という選択に自信が無くなった…という記者の苦言を基に書かれています。
確かに、以前のMacデバイスといえば、機種数そのものが非常に限られており、むしろ、
「選択の余地がないからバリエーションを豊富にして欲しい!」
という声が上がるほどのものでした。
それが今度は、バリエーションが豊富になりすぎた…という提言です。
まあ、ユーザーの勝手な思いとも言えるわけですが、最近のAppleデバイスは、単純に種類が増えているだけではなく、その増え方に「節操の無さ」「アイデンティティの欠如」を感じることが珍しくありません。
果たして…。
現状のAppleの姿勢は、中・長期的に見たときに吉と出るのでしょうか? それとも?
定まらないモデル展開の基本理念
私が問題だと考えるのは、最近のAppleはユーザーの嗜好の読み違えたり、ユーザーを意識しすぎるが故に節操のないモデル新設を行う傾向にある…ということです。
最近の「読み違い」という点では、「iPhone mini」が印象深いですね。
鳴り物入りで登場したiPhone12 miniでしたが、蓋を開けてみると早々に減産、2年間でのモデル終了が決定するほどの不人気機種となりました。
前評判は非常に高かったのですが、「バッテリーもちの悪さ」が足を引っ張った…という説が有力です。
もちろん、コンパクトサイズの需要を捉えきれなかった…という部分もあるでしょう。
そして、iPhone14シリーズでは無印の大画面版「Plus」を新設したのですが、こちらもmini同様の運命を辿りそうです。
また、Macにしても、12インチMacBookやiMac27インチを廃版にするなど、存続を求める声が大きいモデルを一気に切り捨てることが多いのが最近のAppleの傾向ですね。
更に、Mac Studioに関して、一時「後継機は出ない…」という噂が登ったりもしました。
真偽のほどは分かりませんが、結構ぐちゃぐちゃです。
要は、モデル展開をするに当たっての「基本理念」が感じられないのです。
あまりに「売れるモデル」「利益」を意識するあまり、ユーザーの心理を置き去りにしている感さえ受けてしまいます。
また、最近ではとにかく「ディスプレイサイズの拡大」に躍起になっているようで、ジョブズの思想との乖離も気になってきました。
時代の流れもあり、どうしようも無いことかもしれませんが、
「もしジョブズがいたら…」
と、ことあるごとに話題になるのも、ユーザーがAppleの迷いを敏感に感じ取っているからなのではないでしょうか?
少なくても「効率」という点ではマイナスのはず
利益追求を第一義とするAppleですが、機種数を増やすということは当然ながら、生産ライン自体を増やさなくてはならないということでもあり、「効率」という点では大いにマイナスになっているのでは…と感じます。
せっせと新生産ラインを構築した新モデルが、短期間で廃版になるのではなおさらでしょう。
もちろん、選択できる機種数が増えること自体は我々ユーザーにとってはプラスでしかありません。
しかし、そこにパタパタと忙しく新しいモデルが増えたり消えたりするのでは、安心して機種選択することもままなりませんし、Appleに対する信頼も揺らいでしまいます。
以前に紹介した記事では、iPadのモデル展開について、「Pro」「無印」「SE」の3機種展開のように、シンプルで分かりやすいものにしていく必要がある…と述べていました。
これが正しいのかどうかは判断できませんが、今後のAppleの展開としては、Appleのアイデンティティを再度確かめた上で、しっかりと根を張るような、「ある程度固定され、かつ機種数そのものもシンプルな形でのラインナップ」を揃え行くべきなのではないでしょうか?
機種数の拡大戦略は、そのうち破綻するような気もするのですが…。
というか…。
現状でも少しばかり溺れかけているように感じるのは私だけでしょうか?